彩花の騎士
ストーリー 62

同日、午前中・・・

【此花 家・玄関】


 ミヨ「―――――・・・別に付いて来なくていいって・・・」
私服姿のミヨが靴を履きながら言う・・・

 チカ「いんや!、アタシが行かなきゃ誰が行くって話だよ!=3」
入口の引き戸の前で通せんぼするように、両手を組み仁王立ちで応えるチカ

 ミヨ「誰がって・・・私の用事だから私じゃない;」

 チカ「違う違ぁーう!(>□<)、そういう事じゃなくて!」
 ミヨ「・・・?。まぁ別にいいと思うけど・・・大人しくしててよ」

 チカ「合点承知之助!」ニッb
 ミヨ「その返事の時点でダメな気がするんだけど・・・」


朝の勉強を終えたミヨ 【※52話冒頭参照】、
なにやらこれから出かけるようだが・・・・・。







・・・・・







【叶街:駅前ビルの入口付近】

連休の最中、人でごった返すこの場所にて
妙に目立っている2人組がいる・・・

 ナギサ「―――・・・この人ごみ・・・全部ゾンビだったら
     私達どうなっちゃうのかしらね・・・クフフ」

全身真っ黒なゴシックファッションを着こなし過ぎているナギサが呟く


 イチル「・・・・・黒百合の戯れ・・・散華・・・」

ピアスに腕輪に指輪に首輪に、ゴテゴテ装備したロックファッションのイチルが
それにボソりと応える・・・




・・・そこに




 ミヨ「―――――・・・お待たせしました!」

チカを連れたミヨが到着。

 ナギサ「あら?、その子も一緒なのね」
 ミヨ「すみません、付いて来ちゃって・・・」

 チカ「人を野良犬みたいに言うなぁー!(>□<)=3」

 ナギサ「ウフフ・・・構わないわよ」


 チカ(・・・んんー・・・何かミヨが心配で来ちゃったけど・・・・・)
ナギサとイチルをジロジロ見るチカ・・・

 ナギサ「・・・?。何かしら?」
その視線に気付き・・・


 チカ「魔女だ。」(・∀・)
 ミヨ「コラッ!!」バカチカ!

 ナギサ「ウフフ、分かる?」
 ミヨ「す、すみません・・・;」チカが失礼なこと・・・

 ナギサ「いいのよ、事実だものw」
 ミヨ「・・・ぇ?;」

 チカ「だと思ったッスよ!ニシシ。
    一条さんも何か敵のライバルキャラみたいな格好でカッコイイじゃん!b」
 ミヨ「イチルもゴメン;。チカなりの褒め言葉だと思って(^^;)」


 イチル「・・・・・仮面の罅をなぞる指・・・本当の僕がキミの瞳に映る・・・」
 チカ「ん???」

 ナギサ「ウフフ、ありがとうって言いたいのよ。
     あと下の名前で呼んでくれていいって・・・ね、イチル?」

コクリと頷くイチル

 チカ「了解イチル!(>▽<)ノ」よく解んないけど分かった!

 ミヨ(チカの適応力も凄いけど、ナギサ先輩の翻訳も相変らず凄い・・・;)


 ナギサ「・・・さて、じゃあ行きましょうか・・・」





・・・





ナギサに連れられ
駅前ビル内に入り、奥へ奥へと進んで行くと・・・

賑やかだった雰囲気が徐々に無くなっていき、
下へ向かう階段に辿り着く。

 ミヨ「―――・・・私、地下街ってはじめてです」
 チカ「アタシも!」わくわく

 ナギサ「ウフフ・・・上(の階)と違って濃いお店が多いわよ・・・」

そんな会話をしながら、蛍光灯の明るさが一つ落ちた階段を下って行く・・・



【地下街】に入って最初にあったのは
小さな昔ながらの喫茶店・・・

コーヒーの良い匂いが店の外まで香る中、数歩進むと
急に香辛料の匂いに切り変わる。

直ぐ隣がそういう専門店のようだ・・・

続いて御香の香り、その次はマダム向けの強い香水の匂い・・・
離れたとこからは漢方薬のような独特な臭いもしてくる・・・

さらに歩き、並んだ店を見渡せば・・・
アイドルグッズショップ、占い屋、金券ショップ、古本屋、爬虫類専門店etc・・・・・

目まぐるしく視覚と嗅覚を刺激し
小さな店舗がぎゅうぎゅうに個性を出し過ぎていて、統一感が全くない。


 ミヨ「・・・何か凄いところですね(^^;)」一人じゃまず来ないかも・・・
 ナギサ「ウフフ・・・カオスでしょ?」


駅や、駅前ビルは大戦後の再開発で綺麗になったのだが・・・そのさい
その当時に営業していた個人商店の多くは、地下街に押し込まれるかたちとなり・・・

その後、場所の雰囲気も合ってか、空きスペースにマニアックな店が入りだし
いつしかここは七日市のディープスポットになった。


 チカ「うぉぉぉぉぉーーー!!、ゴーグルセブンのフィギュア30万円!!!=3」
レトロおもちゃ店のショーウィンドウの前で、
プレミア価格が付いた特撮ヒーローのフィギュアに、興奮し叫ぶチカ

 ミヨ「ホラ、チカ置いてくよ」
 チカ「あぁ〜待ってよ〜」もっと見たいのに〜


 イチル「・・・・・ぉぉ・・・(☆△☆)」
同じ様に、大きな頭と瞳が特徴のブランド系ファッションドール専門店の前で立ち止まり、
怖可愛いゴスロリ服の人形を見て、目が輝くイチル・・・

 ミヨ「イチルも置いてくよ」

ハッとし、歩いて行くナギサとミヨの後ろにすぐさま合流
 イチル「・・・人形の意識が囁く誘い・・・」

 ミヨ「今のは私も意味わかったw。カワイイって言ったんでしょ?」
 イチル「・・・零れ落ちた言葉のピースはキミが持っていた」

 ミヨ「イチルと話すと、なぞなぞやってるみたいになるよ・・・(^^;)」


 ナギサ「クフフ。・・・着いたわよ」
と、先頭を歩いていたナギサが立ち止まる。


その先を見ると・・・
ドクロや十字架といった、妖しげな商品の雑貨屋がある。

 チカ「おぉ!魔女の店だ!」
 ナギサ「ウフフ・・・」
 ミヨ「・・・そのまますぎて何も言えませんよ・・・・・;」
 イチル「エデンの園・・・」

狭い店内に入ると、ランタン風の照明で薄暗く照らされ、
床には魔法陣の絨毯。本物なのか装飾なのか・・・天井には蜘蛛の巣も見られる。

そして、所狭しと棚に並んだ商品の数々・・・
ロウソク、タロットカード、水晶、蛍光色や毒々しい色の薬品、外国語の書物、
トンガリ帽子、ホウキ、杖、釜、壷、謎の種、トカゲや虫の干物、魔法のランプ、等々・・・

果てはジェイ●ンのホッケーマスク、妖しいSMチックな小道具、
壁際にはアイアンメイデン、ギロチンの組立キットまで置いてある・・・


 ミヨ「・・・・・ほ、本当にここに売ってるんですか?;」
 ナギサ「えぇ・・・少し待っててちょうだい・・・・・」

店内の勝手を知っているナギサが、奥の棚の方へ歩いて行く・・・



 チカ「お!、これミヨん家の道場の入口に飾ったらカッコイイじゃん!」
待つ間、チカが妙な商品を見つけ、指差す・・・

 ミヨ「ん?、どれ?・・・・・
    ・・・・・日曜大工で作るガーゴイル像・・・;」セメント別売り・・・

 チカ「悪の秘密基地っぽいっしょ!!」左右2つ置いて!
 ミヨ「バカ。誰も来なくなるわよ;」

 チカ「えぇ〜・・・じゃあコレ!」
 ミヨ「はいはい」



 ナギサ「―――・・・・・お待たせ」
少しして、ナギサがある物を手に戻ってくる・・・

 ナギサ「これよ」
手にした物を3人に見せる・・・

 チカ「・・・何だコレ?」
 ミヨ「思ったよりカワイイですね(^^)」
 イチル「・・・無垢なるマリオネットの心臓・・・」

それは、10cmあるかないかのカラフルで半透明な立方体(正六面体)。

6面それぞれに淡い色が着いており、ちょっとしたオシャレ小物にも見えるが・・・


 ナギサ「・・・魔法力で遊ぶルービックキューブね・・・・・」
 チカ「ルービックキューブ?」

 ナギサ「その名゛も、ウルズマイトパズルキューブぅ゛〜〜〜」テッテレー!!
それを高々とかざして、独特な濁声で叫ぶナギサ



 一同「・・・・・・・」(°_°;)ポカーン・・・・・



 ミヨ「・・・・・・・。国民的青い狸のモノマネとかいいですから;」
 ナギサ「ウフフ、もっと色々ツッコンでいいのよ・・・」ニタァ・・・

 ミヨ「・・・・・遠慮しときます」表情が何か卑猥です
 ナギサ「つれないのね」


と・・・ナギサは、見せて見せてと言わんばかりのチカに、
ウルズマイトパズルキューブ(Uキューブ)を、ちょん・・と渡す

 チカ「どもッス!。
    ・・・ルービックキューブってなんか聞き覚えあるんだよな〜」

受け取った早々、ガチャガチャと各面の9マスを回しまくるチカ

 チカ「・・・あぁ!確か昔ミヨの家で遊んだことある、コレ!」ガチャガチャ・・・
 ミヨ「普通のやつはね。
    最終的に癇癪起こして木端微塵に壊した誰かさんだけど・・・(¬o¬)」

 チカ「またこのオモチャ買うんだ」誰かさんって誰だ?
 ミヨ「オモチャっていうよりは・・・」

 ナギサ「・・・魔法力の効率をトレーニングする道具ね」


 ミヨ「支援班は銃器以外の道具も色々使うでしょ?」
 チカ「あぁ〜バリアーとか?、爆弾みたいのも投げてたね」ガチャガチャ・・・

 ミヨ「私やイチルは、ナギサ先輩みたいに魔法力が高くないから
    道具に合った配分や切り替えの効率を上げた方がいい・・
    ・・って、アユミ先生にアドバイスもらってね」

イチルも頷く

 チカ「これ回せば強くなれるの?」ガチャガチャ・・・
 ミヨ「魔法力がないと回せないから
    やってると自然に調整する力が身に付くらしいよ・・・貸してみて」

 チカ「ん」
回しに回して色がバラバラになったUキューブをミヨに渡す


 ナギサ「脳トレならぬ、まほトレね。
     シーナが1年の頃にやってたの、ふと思い出したのよ・・・」
 ミヨ「それが決め手です」

 ナギサ「そういえばアナタ、実地訓練の後
     やけにシーナに話し掛けてたわね・・・」ドーナツ休憩の時・・・
 ミヨ「去年まで支援班も兼任してらしたっていうシーナ先輩ですからね、
    色々勉強になります(^^)」

 ナギサ「あら、私じゃなくて・・・?」
 ミヨ「ナギサ先輩は魔法力が高すぎて超越しちゃってる感じなので・・・
    参考という意味では同じCランク適合者のシーナ先輩の方が・・・・・」


 ナギサ「・・・あぁ・・・・・今なら私、嫉妬の念でシーナを呪えそうよ・・・」
 ミヨ「冗談に聞こえないのでやめて下さい(^^;)」
 イチル「ジーザス・・・」

 ナギサ「ウフフ・・・」

 ナギサ「でもそうね・・・合宿の時、手が空いてそうなら
     シーナにこっち(支援班)にも来てくれるよう頼んでみようかしら・・・」
 ミヨ「是非お願いします(^v^)」





 チカ(・・・・・・・ん〜・・・思ってたよりミヨの班って仲良いんだな〜・・・・・(=v=))


 チカ「・・・・・ねぇミヨ!、アタシにも何か選んでよ!!」
 ミヨ「え?、チカにも?;」

 ミヨ「パズルとか嫌いなのに?」
 チカ「いいから!」


 ナギサ「そうね・・・アナタには・・・」

 チカ「いいえナギサ先輩!、ここはミヨに選ばせてあげましょう!(ー□ー)」
パーの手を突き出して、ナギサの言葉を遮るチカ

 ミヨ「何でそんなに上からなのよ;」


 ナギサ「ウフフ・・・これは本当に妬けるわね・・・」
いつになくニヤニヤ顔のナギサ


 イチル「・・・偽りのエゴ・・・・・」
 ナギサ「ね・・・w。
     イチルのそれも剥がれる時がくるのかしら?・・・クフフ」

 イチル「・・・・・///;」
頬を赤らめ、目線をそらすイチル


 ナギサ(・・・・・あぁぁ・・・こんな初心な娘達に囲まれてたら・・・おかしくなりそう・・・)ゾクゾク



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by: へろ
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