彩花の騎士
ストーリー 61

同4月30日(祝日)、お昼頃。

【伊倉タエコ 自宅】


居間で寝転がり、テレビを見ているタエコ・・・


 タエコ「うひ〜・・・凄い人;」

テレビでは、情報バラエティー番組の行列レポートが流れている・・・


 女性レポーター『―――・・・そうなんですよ!、実はこちらの行列!
          みなさんのお目当てはこれだったんですね!!』

 男性司会者『・・・ん?、コッペパンですか!?』
 女性レポーター『そう!、懐かしのコッペパンなんです!』

 タエコ「あぁこれ知ってるわ・・・」別の番組で見たことある

 女性レポーター『50種類もあるクリームを自由にトッピングできてですね・・・』

 若手芸人レポーター『全部塗っちゃいました〜w』フガフガ
 男性司会者『おいおい塗りすぎだよ!、パンが見えないよ!w』

 タエコ「・・・ダメだこりゃ。味にはバランスや相性ってのがあるのに・・・
     美食家の海原先生に怒られろ」

タエコ的に、若手芸人のその行為が気に入らなかったのか
リモコンでチャンネルを変える・・・



 タエコ「・・・ふぁ〜あ・・・・・」

一通りチャンネルをザッピングの後、見るものがなく
大きなあくび。


 タエコ(意外と暇よね・・・明後日は合宿だから無駄に出歩くのもアレだし・・・)

そんな事を思いながら、テーブルの上に置いてある携帯ゲーム機を手に取り
電源を入れる・・・

 タエコ(このゲームも一通りやり尽くしたからな〜・・・
     アタシも昨日スミに付いて行って(ゲーム屋に)
     中古の安いのでも買えばよかったかな・・・)


そんなダラダラしたタエコのケータイに着信


 タエコ「・・・もしも〜し?」
 通話相手『あぁ!タエコ先ぱぁーいぃ!!;』

 タエコ「どした?スズナ。慌てた声で・・・」
 スズナの声『助けて下さぁーい!(>△<;)』ひーん

 タエコ「うんうん、パイセンに言ってみ?」今丁度暇だったし
 スズナの声『そ、それがぁ・・・―――――――――――』







・・・







【騎士の館:休憩室】

先程の電話にて、タエコとスズナが待ち合わせに選んだ場所。


学校と家が近いタエコは先に到着し、
スズナを待つ間の時間潰しに、ソファーに座って携帯ゲーム機を遊んでいる・・・


 タエコ「・・・っとと、我ながら見事な角度調整ね♪」

ゲーム画面内では、タエコ自身に似せて作られたデフォルメキャラクターが
プロペラ飛行機に乗って、滑走路に華麗に着陸している・・・

 ゲームアナウンス「ファンタスティック!!!」
画面に表示されるオールAランクの素晴らしいプレイ結果。

遊んでいるのは、タエコのイメージに反し
繊細な操作が求められるスカイスポーツシミュレーションゲーム。
しかもかなりの腕前のようだ。





とそこに・・・


・・・ガチャ!


 スズナ「お、お待たせしましたぁ〜!!;」ハァハァ
息を切らせたスズナが室内に入ってくる・・・その手にはスーパーの袋。

 タエコ「んな焦んなくてもいいよw」
二つ折り式の携帯ゲーム機の蓋を閉じ、カバンに入れながら応対

 スズナ「でも私のワガママなので・・・」

 タエコ「さっき家でテレビ見てて、パンの口になってたんだアタシw
     まさにグッドタイミングってやつ?♪」
 スズナ「そ、それならぁ・・・(^^;)」ほっ・・・

少し息が落ち着いたスズナが、出入口からタエコの元に歩き・・・

ソファーの前のローテーブルに、持っていたスーパーの袋を置く・・・


 タエコ「どれどれ・・・」
早速、袋の中身を順に出して行く・・・

 タエコ「・・・電話きた時は何事かと思ったけど・・・www」
 スズナ「・・・・・(^^;)」

テーブルの上に、次々と菓子パンが並べられる・・・

 タエコ「パンに付いてるポイントシールが欲しい・・・って;w」


 スズナ「25点でピッピーちゃんのトートバッグが貰えるんですぅ!!」
 タエコ「CMやってるやつね、ハマザキ春のパン祭とか・・・」好きねぇウサギグッズ集め

 スズナ「はいっ!。気が付いたら今日が締め切りでぇ・・・;」あと8点も足りなくて・・・

 タエコ「んで、食いしん坊万歳なアタシってわけねw」

 スズナ「え、えっと・・・そのぉ・・・;」

 タエコ「オーケー、オーケー
     このフードファイター伊倉タエコに任せておきなさい」ムフフ
1つめの菓子パンの封を無駄にカッコ良く開けるタエコ

 スズナ「お、お願いしますぅ・・・(^^;)」




・・・




 タエコ「―――・・・そういやさ、今日はスミ誘ってないの?」ムグムグ・・ゴクン・・・
早々に3個目のパンをペロリとたいらげる・・・

 スズナ「あ、はいぃ・・・」飲み物どうぞ・・・
隣に座り、タイミング良く手にした紙コップをタエコに渡すスズナ

 スズナ「スミ先輩、昨日買ったゲームやってると思ったのでぇ・・・」

 タエコ「確かにw」グビグビぷはー!



 タエコ「・・・あ、ゲームで思い出したけど・・・
     スズナってこーゆーゲームやる?」
先程カバンに入れた携帯ゲーム機を取り出し、スズナに見せる

 スズナ「・・・?。飛行機・・・のゲームですかぁ?」

 タエコ「ザックリ言やそうだけどw
     スカイスポーツシミュレーションってジャンル」
話しながらも、4個目のパンの封を開けるタエコ

 タエコ「アタシら通信班が使う偵察機の操作も
     イメージトレース使ってるでしょ?」モグモグ
 スズナ「はい」

 タエコ「キリア先生いわく、意外と遊びからでも
     そーゆーの養えるんだって。合う合わないはあるみたいだけど」
 スズナ「なるほどぉ・・・」

 タエコ「アタシが食べてるの横で見てても暇だろうし
     ちょっとやってみる?」
 スズナ「いいんですか?」

 タエコ「ほい」
スズナに携帯ゲーム機を手渡す・・・



 スズナ「・・・フフwこのキャラクター、タエコ先輩にそっくりですね(^^)」
 タエコ「自作のアバターを使って遊べるからねw。スミとかも作ったよ」

ゲーム画面でプレイヤーキャラクターのアバターを選ぶスズナ・・・

 スズナ「わっ!ホントだぁ!カワイイ!!v」スミ先輩のミニキャラ!

 タエコ「そのスミ選んで、ウサ耳ヘルメットでもかぶせてみ?」スズナ好きそうでしょ?

画面内のスミを模したミニキャラに、装着させるアイテムを選んで行く・・・

 スズナ「ウサ耳・・・・・あ、これですねぇ」
 タエコ「ん?。そうそう」モグモグ

スミのミニキャラが、ウサギ耳の付いたヘルメットをかぶり
くるりと回ってポーズを決める

 スズナ「キャーーーーーーーーッ!!!!!!!(≧▽≦)」
ジタバタジタバタジタバタゴロゴロ!!!=3

叫びながらソファーの上で悶絶するスズナ

 スズナ「何ですかコレ!何ですかコレぇ!!、可愛い過ぎますぅぅぅ!!!/////」
 タエコ「きょ、今日一の食い付きね・・・;」

 スズナ「はわわぁ〜・・・はわわぁ〜・・・(☆▽☆)vvv」
もうゲーム画面から目が離せない様子


 タエコ(・・・ちょっと妬けるけどw
     まぁ楽しんでくれてるんならいいか・・・(^^;))モグモグ

 スズナ「はわわぁ〜・・・はわわぁ〜・・・(☆▽☆)vvv」



・・・



 タエコ「・・・っとスズナ」
 スズナ「!、は、はい!?」

 タエコ「せっかく学校まで来たんだし、
     この後、偵察機のシミュレーターもやってく?」スズナはアレ少し苦手よね

 スズナ「あ、是非ぃ!」助かりますぅ(^^)

 タエコ「流石にアリサ先輩みたいに2つの事を同時に・・って器用さはないけど
     偵察機に関してはアタシもなかなかなのよb」
 スズナ「はいぃ!(^v^)」


何だかんだで良き先輩をしているタエコである・・・。










・・・・・・・―――――










一方その頃・・・

イサミ父の説得に成功したコウ、イサミ、ヨシコの3人は・・・・・



 イサミ父『・・・では餞別代りに、2人に今から稽古をつけてあげよう・・・』



その言葉の通り・・・



【石橋 家:地下室】

一見すると、古風な剣道場に見えるが
ムゥリアンを投影するシミュレーター設備のある、最新の訓練場所だ。


 イサミ「――――・・・はぁっ!!」

刀身がウルズマイトエネルギーで出力された武器“UEブレード(刀)”を振り、
立体映像のゴブリを斬り裂く、袴姿が様になっているイサミ。


 ヨシコ「やっぱ絵になるわねぇ〜♪」いいわよいいわよ!
そのイサミを、道場の端からバシバシッとデジカメで激写するヨシコ。




そんな2人から離れた一角で
イサミ父からレクチャーを受けるコウ・・・

イサミとは対照的に、竹刀の握り方も、袴姿もぎこちない・・・

 イサミ父「・・・なるほど・・・・・キミの剣士としての現状は理解した」
 コウ「は、はい・・・;」

 イサミ父「10級(最下級)剣士だっ!!!」カッ!!!
 コウ(最初から初心者って言ってるじゃないですかぁーーー!(T△T;))

 イサミ父「・・・だが安心しなさい。
      今日中に護身剣術の基本をマスターするぐらいには鍛えてあげよう・・・!」
 コウ「は、はい・・・;」

 イサミ父「返事は区切りよく、明確に、大きな声で!」カッ!!
 コウ「はははいっ!!」(@□@;)スパルタンX

 イサミ父「うむ・・・」声の大きさや良し

 イサミ父「・・・騎士たる者、己自身を守れてこそ、他を守れるというもの。
      まずは私に付いて素振り50回から!!」カッ!!
 コウ「は、はいっ!!」

“騎士”というワードに弱いコウ、
この道場の空気と、イサミ父の気迫と熱気も合わさり、早々にやる気スイッチが入る


 ヨシコ「・・・おぉお!、あっちもやってるわね!」
ササッとカメラをコウの方に向け、ズームインボタン



 イサミ父「・・・右手で力任せに振るのではない!、左手を軸にするのだ!」くわっ
 コウ「はい!」

合間合間に入るアドバイスに
振らされているだけの素振りも、少しずつ振っている素振りに変化してくる・・・

 イサミ父「・・・うむ!、その調子だ!!」
 コウ「はいっ!」




 ヨシコ(・・・・・そういやコウって、
     小さい頃はアタシの無茶な遊びにも普通に付き合ってたわね・・・)

 ヨシコ(スポーツしてるイメージがないだけで
     別に運動神経が悪いわけじゃ・・・)


と、素振りの最中に
コウの握っている竹刀がすっぽ抜けて、ミサイルのように飛んで行く・・・

 イサミ父「剣士の魂と呼ぶべき竹刀を投げるとは何事かっ!!!」喝ぁっ!!!
 コウ「す、すみませぇ〜ん!?!;」(@□@川)ひぇぇぇ


 ヨシコ(・・・ま、まぁ・・・ドジなとこはあったけど・・・(=v=;))それ新しい超必殺技?;





 イサミ「・・・クスッ」
一時の休憩の間、横目でコウの様子を見ていたイサミが、小さく笑う・・・

 イサミ「!」
そしてそんな自分に驚く

 イサミ(・・・・・美里先輩・・・変な人だとは思っていたが・・・・・
     まさか父上がおられるこの場で私が笑ってしまうとは・・・;。
     本当に変わった人だ・・・・・)




【美里コウの白兵技能+5】デデデー!!



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by: へろ
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