彩花の騎士
ストーリー 59
カヲル「―――――・・・世界はあれを・・・愛と呼ぶのかもね・・・・・」フッ
カナコ「キャーーーーーーー!!!」(≧▽≦)チュドーン!!=3
フミコ「・・・・・(・_・;)」
私立三枝女学園、『校舎:屋上』にて・・・
狙撃班のカヲル、カナコ、フミコの3人が何やら集まっている。
平日なら今はお昼休みで賑わう時間帯だが、流石に連休中は誰もいない・・・
先程まで聞こえていた、休み返上の部活動の声や音も
今は昼食休憩で静かなものだ・・・
清々しい青空の下、鳥達の鳴き声がとてもよく通る・・・・・。
そんな屋上から見る3人の視線は・・・隣の校舎の、壁と天井が接する辺り・・・
丁度、ツバメが巣作りをしているところだ。
フミコ(・・・・・愛;・・・・・ツバメの巣作りを見てそんな表現が出来るなんて・・・
やっぱり宝塚先輩は突き抜けてるなぁ・・・・・;)
カヲル「・・・さて、今日2人に来てもらったのは
合宿での、僕ら狙撃班の“レクリエーション訓練”についてなんだけど・・・」
カナコ「レクリエーション・・・訓練・・・ですか?」真逆の言葉ですね
カヲル「訓練の要素を含んだレクリエーション・・・だね。
せっかく五高地まで行くんだ、ただの訓練じゃもったいないだろ?」
カナコ「流石カヲル様!」
カヲル「僕の案じゃないさw、これは昔から合宿でやる恒例イベントだよ」
フミコ「・・・?」
カナコ「ん?・・・なによ?」何か言いたそうね
フミコ「いえ・・・。桐原先輩は去年、合宿に行かれたのでは・・・と・・・」
カナコ「行ってないのよ!!=3」
フミコ「?」
カヲル「去年はムゥリアン予報が高くて、流れてしまったんだよ」
フミコ「ムゥリアン予報・・・ですか?」
カヲル「あぁ。・・・土日や祝日は、三枝女子防衛団の活動も休みだけど・・・
それでも、何かあれば手伝える身だろ?僕らは」
フミコ「はぁ・・・」
カヲル「その面子がこぞって留守中にもし・・・となれば、一大事だ。
だから合宿の決行は間際までのムゥリアン予報に左右されるんだ」
フミコ「なるほど・・・」
(・・・それで急に合宿が決まったような感じだったんだ・・・)
カナコ「ほんっと、つくづくムゥリアンに振り回されますよね!」
カヲル「そのための合宿でもあるんだけどねw。
予定を組んでくれていた去年の先輩方も無念だったと思うよ」
カナコ「はい・・・」
カヲル「・・・・・ま、これも僕ら適合者の運命(さだめ)・・・かな」フッ
カナコ「カヲル様ぁー!!!」(>▽<)いちいちカッコイイ!
フミコ「・・・・・;」この2人のノリ・・・・・
フミコ「・・・あの、屋上で話をするんですか・・・?」
カヲル「そうだね、もうそろそろかな・・・」
カヲルは袖を少しまくり、洒落たデザインの腕時計を見る・・・
・・・カチャ・・・
と、屋上への出入口の扉が開く・・・
3人の視線がそこに集まる。
屋上へやって来たのは、一人の生徒・・・
制服の腕章は3年生を示す赤。
ほどよいパーマがかかった、クラシカルショートヘアーの少女・・・
リュックサックを背負い、右手には大きな横長のケースを携えている。
カヲル「・・・来たね」
謎の3年生「ども。クックドゥードゥルドゥー、ごきげんよう」
カナコ「く、クック・・・?」何?;
カヲル「今日の僕らの先生さ」
そう言って、その3年生を輪に招き入れるカヲル
フミコ「先生・・・?」
謎の3年生「ども、『鳥見(とりみ)』です。・・・ひぃ、ふぅ、みぃ・・・」
簡潔な自己紹介と同時に、“カチカチカチ・・・”と音がする
カナコが過敏に、その音の出所を瞬時に見つける・・・
カナコ「・・・あの、それ何ですか?」
鳥見「あぁコレ?、ただの癖だから気にしないで」
何も持っていないと思われた左手を開くと、
交通量調査などでお馴染みの、手持ち式カウンター・・・
カヲル「彼女はバードウォッチング同好会の会長さ」
鳥見「ども」
カナコ「バードウォッチング・・・?」
カヲル「あぁ、僕らのレクリエーション訓練はこれさ!!」
パチンッ☆と指を鳴らすカヲル
鳥見「さすが王子(カヲル)、目の付け所が良い」カチカチ
カヲル「―――――・・・・・自由に舞う小さな野鳥を観察し、撮影する・・・・・」
突如、カヲルの演劇スイッチが入る・・・
カヲル「それは狙撃手(スナイパー)としての目を!」バッ!
スタイリッシュポーズ その1
カヲル「そして感を!」ババッ!
スタイリッシュポーズ その2
カヲル「養い・・・・・!!」カッ!
目力MAXで溜め・・・
カヲル「・・・可憐な鳥達を愛でることで・・・・・」
キレッキレのターン・・・
カヲル「美を!」バババッ!
スタイリッシュポーズ その3
カヲル「心を!」ズババッ!
スタイリッシュポーズ その4
カヲル「・・・豊かにする!!」ズキューン!
スタイリッシュポーズ その5
カヲル「・・・なんて・・・・・・・ア、メェ〜イズィング(アメージング)!!!」パァー・・・
フィニッシュに、両手を広げて天を仰ぐポーズで叫ぶカヲル・・・
太陽のスポットライトを全身に浴び、
「・・ズィング・・・ズィング・・・・・」とエコーが青空にこだまする程だ・・・・・
フミコ「・・・・・・・・(=v=;)」
カナコ「・・・・・み、見える!、光の翼が見えます!!」(☆▽☆)カヲル様!
鳥見「まさに救世主ね・・・・・!」
(王子が宣伝してくれれば同好会も部に昇格できる・・・!)カチカチカチカチ!
・・・んで。
鳥見は右手に持っていた、
大きな横長のケースを地面に置いて、開く・・・
鳥見「―――・・・これがフィールドスコープ。地上用の望遠鏡」
その中から取り出した望遠鏡と三脚を組み立てる・・・
カヲル「射撃の標的確認などにも使うからね・・・」
早速それを覗き込むカヲル
カヲル「・・・2人も覗いてごらん。世界はこんなにも美しいよ」
カナコ&フミコ「はい」
鳥見「あとカメラと望遠レンズ、ミニ図鑑、鳴き声入れたMP3プレーヤー・・・」
お構いなしに、リュックサックから次々と道具を出す鳥見
鳥見「・・・それと、ミッション表」
カヲル「悪いね」
鳥見「作るの楽しかったから気にしないで」
鳥見は、手作り感のあるファイルをカヲルに手渡す・・・
カナコ「・・・ミッション・・・?」
カヲル「訓練も兼ねてるからね・・・
鳥見くんにお題を作ってもらったんだ」
鳥見「五高地の珍しい野鳥を見つけて写真をコンプリートする・・・とか、
飛んでる鳥をブレずに撮る・・・とか」
フミコ(あ、そういうの好きかも・・・)
カヲル「目や耳や感を研ぎ澄まし、気配を消し
シャッターチャンスを見極め、引き鉄を引く・・・」
カナコ「そう聞くと、グッと訓練らしく感じますね!」
カヲル「あぁ、とても僕らと相性が良い・・・故に、
美しくない写真ばかり撮ると、狙撃班の威信にかかわるわけさ」フフン
カナコ「そ、それは困りますね!!」ムフー!=3
カヲル「だね」ウィンク☆
カナコの高いプライドを刺激する言葉を入れ、
彼女のモチベーションを上手く上げるカヲル。
鳥見「―――・・・準備よし。
じゃ、この辺りの野鳥で練習をはじめましょう」カチカチカチ・・・
カヲル「OK!。でも僕はいつだって本番さ!!」キラーン☆
カナコ「キャーーーーーーー!!!」(≧▽≦)いちいちカッコイイ!
フミコ(・・・・・宝塚先輩・・・今日も全開だなぁ・・・・・;)
カヲル達の空気にはまったくハマらないフミコであるが・・・
フミコ(・・・でも、合宿ちょっと楽しみになってきたかも・・・♪)
鳥見が出したハンドブックサイズの鳥図鑑を、興味有り気に読んでいる。
その様子を横目で確認するカヲル・・・
カヲル(うん、僕のチョイスに間違いはなかったようだね)ニッ
カヲル「・・・フミコ、何か見たい鳥は載っていたかい?」
フミコ「あ、はい・・・―――――」
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by:
へろ
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