彩花の騎士
ストーリー 57

彩花街と並川街の境あたり・・・
大通り沿いに、庶民的な定食屋がある・・・

『かいどう食堂』

その名の通り、海道ケイの実家だ。


カウンター席5つと、4席テーブルが4つ・・・
昭和ノスタルジーを彷彿とする、いかにもなTHE 定食屋。


♪ベケベンベンベンベベベベ〜ベ〜ベベ〜ベベベぇ〜〜〜♪


加えて店内BGMはド演歌垂れ流し・・・

大通り沿いという立地から、ダンプカーの運転手なども多く訪れる。


このような生活環境で育ったケイだからこそ
女子高生らしからぬ、姐御〜な貫禄が身についたのも頷ける。






―――――・・・ガラガラガラ・・・



店の戸が開く・・・

 ケイ「いらっしゃ〜い!」
トレードマークのいつものバンダナに、エプロン姿のケイが
お客を出迎える・・・


かいどう食堂の魚介メニューの美味しさは、この辺りでは有名で
それ以外にも口コミや、通なグルメブロガー達が遠方から食べに来るため
連休中も店内は賑わっている。昼食時となれば尚更だ・・・


 ケイ「・・・って、アンタは裏口から入りなさい;」
入店した相手に一言・・・

それが客に対する応対か?・・・それとも顔見知りか?・・・と、
食事をしていたお客さん達が、その入って来た人物に興味本意で視線を向ける・・・


 お客さん達「・・・!?」
思わず目を奪われる


この食堂の雰囲気に、あまりに似つかわしくない色気を纏ったその容姿・・・




 アリサ「アラやだ、私は愛人扱い?」




 お客さん達「ブフーーーーーーーーーー!!!!!」(;=3=)∴∴∴∴∴
その言葉に、一斉に吹き出すお客さん達




 ケイ「そういうくだらない事言うからだろ!」ったく

 アリサ「アハ!☆w」
両手の指同士を合わせ、悪びれる様子なく笑うアリサ



するとカウンターの奥から、調理をしていたケイの両親が顔を出す・・・

 ケイ父「おぅアリサちゃん!、今日もブイブイいわせてるねぇ〜!♪」
 ケイ母「お父ちゃん、そういうのセクハラって言うんだよ」もう年頃の子なのよ

 ケイ父「なんでぇいそりゃ、外国産か?、ウチは国産しか使わねぇぞ!!」

 ケイ母「はぁ〜・・・;。ケイ、もぉ上がっていいから。
     アリサちゃん、ゆっくりしていきな」
 アリサ「はぁ〜いv」

 ケイ「いいの?」混んでるけど
 ケイ母「大丈夫だよ」
 ケイ父「こちとら普段から2人で店回してんだぃ!、
     変な気使わねぇで上でブイブイやってろぉい!!」

 お客さん達(・・・ぶ、ブイブイって何だ・・・・・?;)ドキドキ



 ケイ「んじゃ、お言葉に甘えて・・・。皆さんお騒がせしました」
内輪で騒がしかった事に対して、お客さん達に一礼するケイ




・・・




食堂の2階、ケイ家族の居住スペース。


 ケイ「―――・・・適当に座って。何飲む?」

生活感が出過ぎている散らかった居間に通されるアリサ・・・。


ケイはキッチン・・・否、台所の冷蔵庫に向かう・・・


 アリサ「そうね・・・レモネードのソーダ割りを頂こうかしら」

 ケイの声「は?、んな物あるわけないでしょ」

そんなやり取りをしつつも、アリサは手近な散乱した物を
手際良くまとめて片付ける・・・

2人は幼稚園からの幼馴染みで、ご近所同士・・・まさに勝手知ったる他人の家。



・・・ほどなくして、ケイがお盆に色々乗せてやってくる・・・

 ケイ「はいよ、レモンとソーダ」

出されたのは・・・瓶のザイダー(炭酸飲料)、栓抜き、
そして明らかに料理に使った残り物と思しき、ラップに包まれたレモン半分・・・


 アリサ「・・・よね〜w」そのまんまじゃない

それらを見たアリサが、「分かってました」とばかりのリアクションで

レモンを無視し、ザイダーの瓶を開け、一口・・・


 ケイ「搾ったげよっか?」レモン
 アリサ「おケイ汁?」
 ケイ「黙らっしゃい」

 アリサ「てか女子高生に出すお菓子が柿ピーとスルメってヤバイでしょ」

 ケイ「嫌なら食べるな」バリボリ
 アリサ「食べるわよ」ポリポリ・・・


 アリサ「・・・それよかさ、おケイの班はみんな合宿行くって?」
 ケイ「あぁ行くよ。アンタんとこは?」

 アリサ「もち」

 ケイ「・・餅か〜・・・アンタまた胸大きくなってない?」バリボリ
 アリサ「え?なに?おケイって私のそういうところ見てるの?」やだ・・・

 ケイ「バッヵ!?、餅にかけた皮肉だろっ!!/////;」
 アリサ「アハハw」知ってる

 ケイ「ったく・・・;」

 アリサ「揉んでみる?」確認に
 ケイ「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!!;」


 アリサ「でも合宿かぁ〜・・・」
何事もなかったかのように、コロッと話題を戻すアリサと

 ケイ「・・・・・・・;」コイツめ・・・
ジュースを一口飲み、咽た喉を整えるケイ


 ケイ「・・・ふ〜・・・・・。
    アンタのそういう自由なとこ、昔っから腹立つわね・・・;」
 アリサ「え?どこどこぉ?w」

 ケイ「こ・こ・だ・よ!」
ケイはスルメを一本取り、アリサの口に突っ込む

 アリサ「むぐっ;」


 ケイ「・・・とはいえ、去年は流れちまったからねぇ・・・合宿」
 アリサ「ほうへぇ〜(そうねぇ〜)」ムグムグ・・・







・・・・・







同時間帯。

『叶街』の商店街を抜けた先にある通り・・・

大手牛丼チェーン「中野家」。店内。


テーブル席で昼食中の、騎士様が5人いる・・・

午前中の、『鬼瓦ジム』でのトレーニングを終えた突撃班のマキ、トキエ、タツミ、
その様子を前日に引き続き見に来ていたリサ、
リサについて来たアカネである。


 アカネ「―――・・・確かに合宿前の出費抑えんのやったら
     ファミレスよりこっちやな♪」モグモグ
 トキエ「腹にガッツリ溜まるしな!!」ガツガツ
牛丼を掻き込み頬張る2人・・・

 アカネ「質より量ってか?」
 トキエ「バカ言え!、このタレさえあれば、アタシは無限にメシが食えるぜ!!」
 アカネ「無限てw」

 リサ「シノブっちがここにいたらキレそうな発言だね、トッキー」モムモム
牛丼屋で親子丼を食べる、邪道リサ

 アカネ「メニューに書いとるカロリー、
     計算しながら食べとるからなアイツ(シノブ)はwカッカッカッ!www」



 タツミ「・・・・・」
2年生達の会話には我関せずで
スタミナ定食の肉を噛み千切り、ただただ黙ってそれを噛むタツミ・・・



 マキ「・・・・・己の摂取エネルギーをコントロールする・・・それもまた修行成り・・・」
ポツリ・・とこの場にいないシノブをフォローし、静かに味噌汁をすする・・・

牛丼屋にも関わらず、
ご飯、味噌汁、漬物のみのセットを食すマキ・・・。



 トキエ「・・・・・か、カッケぇ・・・・・」ポッ
マキの発言と落ち着いた様に見惚れ、思わず牛丼を掻き込む箸が止まる・・・

 アカネ「シブいぃー!!」(>□<)∴∴∴ブワァー!!
 リサ「食にもストイック!!」(>▽<)アカネちん汚い

 タツミ「・・・・・」(☆_☆)キラキラ
こちらもマキへの熱い視線。そして噛むスピード何故かアップ





 マキ「・・・・・・・」ポリ・・・ポリ・・・ポリ・・・・・
続けて目を瞑り、一噛み一噛みに食への感謝を込めるように漬物を食べる・・・


 アカネ「!・・・あ、アカン・・・ウチ、今すぐシノブに会うて謝りたい・・・!!」うるうる

何故かマキの背中から後光のエフェクトが放たれる・・・・・その姿はまさに仏。

 リサ「さ、流石フウマ先輩にゃ!、お漬物食べてアカネちんを改心させた!!
    ・・・ってあっしもシノブっちに謝りたいーーー!!」うるうる

隣のテーブル席のお婆さんもマキに手を合わせる・・・
 お婆さん「有り難や有り難や・・・」南無南無・・・

 トキエ「やっぱ姐さんには敵わねぇぜ・・・!!」へへ
 タツミ「・・・・・」コクリ!



 店員(・・・な、なんだあの女の子達の一行は・・・・・!?!;)金色に光ってる子がいるぞ;







・・・・・







 シノブ「―――――・・・ックシュン!」

 モトコの声『大丈夫ですか?、小笠原先輩』


同時間帯。
シノブは自宅の自室にて、ケータイでモトコと会話中・・・


 シノブ「えぇ、ごめんなさい」
 モトコの声『合宿が控えてますから気を付けて下さい』

 シノブ「ありがとう。
     でもアカネさん辺りが私のウワサでもしているのでしょう・・・」
 モトコの声『・・・意外です』

 シノブ「え・・・?」
 モトコの声『小笠原先輩って、そういう迷信は信じないと思っていましたから・・・』

 シノブ「その通りですけど・・・。
     アカネさんがくしゃみをする度にこういう事、言ってるからかしらね・・・w」

 モトコの声『お二人は仲が良いですからね(^^)』

 シノブ「んなっ!?!!!/////、良くありません!!!!!;」


場面は反転して、モトコ サイド・・・


 シノブの声『んなっ!?!!!/////、良くありません!!!!!;』

 モトコ(・・・そうだった;、
     秋津先輩(シイナ)にお二人の仲はストレートに言っちゃダメって言われてた;)

 モトコ「・・・そ、それはそうと!!」
 シノブの声『・・・・・』

 モトコ「合宿の準備のお買い物、どこで待ち合わせにしましょう?」
 シノブの声『そ、そうね・・・コホン。
       1時に叶街の駅の改札前・・・でいいかしら?』

 モトコ「はい、大丈夫です(^^)」

 シノブの声『では後で・・・』
 モトコ「はい、失礼します」


電話を切るモトコ・・・



 モトコ「・・・と、いうわけで。
     キリア先生、お昼ご飯は冷蔵庫に入れてますから・・・」
 キリア「おぉ〜・・・」

キリア先生の部屋にて通話をしていたモトコ

 キリア「・・・ふぁ〜〜〜あ・・・・・」
今起きた・・・という感じのキリア先生は、大きくあくびを1つ・・・

前日と変わらず、キャミパン一丁(キャミソールとパンツ1枚)のだらしない格好で
まだ寝ぼけ眼の様子・・・

 キリア「・・・どこ行くんだぁ〜?」
 モトコ「小笠原先輩と合宿の準備のお買い物です」

 キリア「小笠原とは珍しい組み合わせだな・・・」
 モトコ「整備班の先輩じゃないですか」
 キリア「それもそうか・・・」

キリア先生と会話しながらも、
テキパキと、彼女のためにインスタントのブラックコーヒーを作るモトコ

 モトコ「・・・はい。先生、コーヒーですよ」
 キリア「すまんな」

 モトコ「あと下も穿いて下さいね!!。じゃ、行ってきます」
 キリア「気を付けてなぁ〜・・・」

部屋から出て行くモトコを目だけで見送り
入れてもらったコーヒーを一口飲む・・・


 キリア「・・・ズズ・・・・・」
    (・・・合宿に、先輩と買い物・・・か。ちゃんと学生してるじゃないか)うんうん

コーヒーをテーブルに置き・・・

 キリア「・・・・・さ・て・と・・・・・」
腕を上に伸ばし、軽くストレッチ



 キリア「・・・まずはモトコの手料理で腹も心も・・・・・萌満たすか!!」キュピーン!☆




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by: へろ
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