彩花の騎士
ストーリー 43
『防衛団専用道路』(騎士の館、敷地内)。
そこに、屋根のないジープが3台停車している・・・
前から順に・・
1号車:運転手・ケイ(3)、護衛役・ミヨ(1支援)
2号車:運転手・リサ(2)、護衛役・トキエ(2突撃)
3号車:運転手・サチ(1)、護衛役・ナギサ(3支援)
(※()内は学年と、元の所属班)
ダダダダダ・・!、ダダダダダ・・!!
ドーン!、ドーーーン!、キューーーン!!
『北側の森』演習場から、
UE兵器特有の、銃声とビーム兵器を混ぜたような音が鳴り響く・・・
トキエ「――・・あぁ〜何でアタシはこっちなんだよ・・」
リサ車の助手席で、両手を後頭部で組み、
ズッシリ背もたれに体を預け、不て腐れ気味なトキエ・・
リサ「まぁまぁ、あっしとのドライブデート楽しも〜よ♪」
運転席のリサは、ハンドル上部に両手を乗せ、その上に顎を置いて話す・・
ピッ、ガガッ――・・
・・と、車内無線が入る。
スミ通信『無限演習開始から10分が経過しました。
車両班は敷地内から出発して下さい』
ケイ「あいよ」
それと同時に、3台はエンジンをかける・・。
ウルズマイト機関(エンジン)車のため、見た目のゴツさに反しての静かな音。
ケイ「リサ、トキエさっさとメット被りな」
バックミラーで2人を確認した後、振り返って・・
トキエ「うぃっス!」
リサ「ほいほい」
ケイ「・・じゃあ各自持ち場は解ってるね」
次はヘルメット内の無線を使い、車両班と護衛役全員に話し掛ける・・
リサ「5〜8区にゃ」
サチ「9〜12区。」
ケイ「よし。
ナギサ、サチのサポート頼んだよ」
ナギサ「クフフ・・この娘、氷菓子みたいで食べちゃいたいわ〜・・v」
リサ「あぁー!、サチに手ぇー出したら許さないにゃ!!」変態先輩!
ナギサ「冗談よw、ウフフ・・」
サチ「危険感知。車外追放。」
ケイ「おバカ」
ミヨ(嗚呼・・ウチ(支援班)の先輩がすみません・・・(==;))
ケイ「じゃ行くよ!」
一同「はい」
・・・・・
騎士の館・2F『通信室』。
タエコ「―――・・15分経過。ここからはアタシ達の出番ね!」
救助者探索を開始する通信班・・・
アリサ「ウサ子、避難者名簿から抜けてる先生を出してちょうだい」
スズナ「はいぃ」
避難者の点呼は電子パッドでしているので
すぐさまデータ共有されたコンピューターで検索・・
スズナ「出ましたぁ」
モニターの1つに、
“救助者役”で現在地下シェルターにいない3名の教師が、
顔写真付きで表示される・・・
アリサ「数学の坂田先生に、世界史の中森先生、生活指導の大田原山ね」
スミ「どうして大田原山先生だけ呼び捨てなんですか・・・(^^;)」
アリサ「個人的な事よw」名前も長いし
アリサ「じゃタエコ、シェルターにもう一度確認、
間違ってなきゃ、車両班のナビにもこのデータ送っといて」
タエコ「了解」
続けて、
街の防犯カメラの2時間以内の録画記録に、先生達のデータで検索をかける。
大まかな現在地を絞り出すためだ・・・
(今ミッションでのルール:屋外限定。GPSでの直接探索は禁止)。
個人情報云々や権限はこのさい抜きである。
この御都合加減こそがズバリ、中二病フィクション作品なのだ!!(天の声)。
・・・
・・数分後。
スミ「・・検索結果でました」
アリサ「ヒットした?」
スミ「はい。・・30分前に1区のスーパーの駐車場で坂田先生が映ってます・・」
アリサ「じゃ、その近辺から探索を広めていって・・。
ウサ子、できるかしら?」
スズナ「は、はいぃ!」
スミ「5分前に7区の住宅街の公園で中森先生・・」
アリサ「タエコ」
タエコ「了解」
スミ「1時間前に12区のバス停で大田原山先生・・」
アリサ「12区ぅ!?、山奥じゃない!!。
まさか『北門公園』とか行ってないでしょうね・・・;」
タエコ「あの先生なら全然有り得ますね・・
「これも貴方達のためを思って・・」とか言ってw」
アリサ「今すんごいその顔浮かんだわ・・・;。
仕方ない、アタシがやるわ・・・」
スミ「お願いします(^^;)」
アリサ「『偵察カメラ1号』、使うわよ。
スミはウサ子のサポートと、無限演習のレーダーチェックも宜しく」
スミ「はい」
・・・
防犯カメラはもちろん、街内に設置された防衛時専用カメラも使い
めぼしい一帯を調べつつ・・
車両班も現地へ向かわせ、彼女達の直での細かい探索も行われる・・・・・。
・・・
『1区』。
スーパーやホームセンターなどの商店が多く、人通りのある区域・・
担当はケイ&ミヨ、通信のスズナ。
ミヨ「――・・やっぱり目立ちますね・・・;」街中をバトルスーツ姿でジープは・・
ケイ「平気平気、
この訓練風景はこの街の恒例みたいなもんだから、ドンッとしときなw」
そんな事を話しながら、徐行運転をしていると・・
歩道を母親と歩いている幼女がこちらに手を振ってくれる・・・
ケイ「ホラねw」
ミヨ「ですね(^^;)」
小さく手を振り返すミヨ
ケイ「着ぐるみの中の人の気分だろ?w」
ミヨ「そ、その例えはちょっと・・・(=v=;)」
スズナ通信『―――・・坂田先生を見つけましたぁ』
ケイ「お!、結構早いねぇ〜♪」
スズナ通信『あわわえとはいどもですぅ』恐縮・・
ケイ「アハハw。・・で?」
スズナ通信『あ、はい・・―――――』
・・・・・
『7区』。
住宅と公園しかない、ある意味死角の多い区域・・
担当はリサ&トキエ、通信のタエコ。
5分前に映ったとされる防犯カメラがある公園の前で、停車しているリサ車に
無線が入る・・・
タエコ通信『・・中森先生そっこーいたわw』
リサ&トキエ「えぇぇっ!?;」
タエコ通信『そこの公園のベンチで寝てる;』
リサ「ダメじゃん!、なんか色々ダメじゃんそれ!!
スタート地点みたいなものだよここっ!!」(@□@川)ガビーン
・・・
拍子抜けにもほどがあるといった顔で、少し大きめの公園内を進むリサとトキエ・・
リサ「・・あ!、先生めーっけ!」
リサの指差す先には・・
藤の花が絡み付いた、自然の日除け屋根が付いた場所・・
その下の、背もたれのないベンチに
天を仰いで寝転び、両手を胸元で祈るように組んで、目を瞑っている女性・・・
中森先生「・・・・・・・」
とても穏やかで、透明感のある、どこか妖精のような儚いイメージのある女性・・・
リサ「マリア様がねてる」
中森先生「・・・・・どうやらお迎えが来たようですね・・」
目を瞑ったまま、予知をしたように言葉を出す・・
トキエ(・・これがウワサに聞く、森ガール先生か・・・)面倒くさそうだな;
リサ「先生お迎えに上がりました!」敬礼ビシッ!
中森先生「・・・・・」
リサ&トキエ「・・・?」
中森先生「・・・・・貧血で動けません・・おぶって下さい・・・」
トキエ「・・・・・;」やっぱりか!
少々イラッとした表情をしつつも、しっかり中森先生をおんぶするトキエ・・
中森先生「ありがとうございます・・・。」
リサ「・・・先生、どして“救助者役”引き受けたの?」ホントに救助されてるね;
中森先生をおぶるトキエの横を歩きながら問う・・
中森先生「・・・誰かに呼ばれた気が・・して・・・」
リサ&トキエ「・・・?」
リサ「・・・う〜〜〜ん・・スピリチュアル的な事だったら・・・・・」
・・・・・
『12区』。
北門公園をはじめ、基本的に山!ばかりで、
彩花街が開拓される以前から存在する集落が点在する区域・・
担当はサチ&ナギサ、通信のアリサ。
ナギサ「・・・?。・・今・・私を呼ぶ“シルフィード”の声が聞こえたわ・・・・・」
サチ「シルフィード。風の精、森の妖精シルフの女性形。」
ナギサ「あら詳しいのね?、フフ・・」
サチ「サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノーム。四精霊。」
ナギサ「うんうん」
サチ「古典的RPGの常識。」
ナギサ「そっちね;w」
ナギサ「私はゲームなら、Z指定のバイオレンスなのを遊んでみたいわ〜・・v」
サチ「却下。」
そんな雑談をしながら、
カーブの多い山道を走るサチ車・・・。
その遥か前方の、上空20mあたり・・・・・
40cmほどのラジコン飛行機のようなものが飛んでいる・・
機体上部に円盤型レーダーが取り付けられているそれは・・・
『偵察カメラ1号』
カメラ機能はもちろん、各種レーダーなども搭載された、
いわゆる“EWAC”(早期警戒管制)というやつで
今回の探索はもちろん、実戦時には前線組より先に現地に飛び
敵の情報を集めてくる、通信班のスペシャルアイテムだ。
・・・
騎士の館・2F『通信室』。
アリサ「――・・道中はいなさそうね・・・・・」
アリサは左手を、キーボードの横に取り付けられた
野球のボールほどの大きさの“透明な玉”の上に乗せている・・
この透明な玉は、『イメージトレースボール』と呼ばれる
ディアースの操縦などにも使われている装置だ。
その名の通り、イメージを画きながら魔法力を送り込む事で
ウルズマイト機関(エンジン)を積んだ機動兵器などを操縦する。
“偵察カメラ1号”のコントローラーがこれだ。
通信班が魔法力を持った適合者であるのは
こういった事も含まれているからである。
アリサ「・・・」
アリサは空いている右手でキーボードを器用に操作し、
北門公園にある防犯カメラも同時にチェック・・・
スズナ(・・2つの事を同時に・・・
や、やっぱりアリサ先輩、凄いですぅ・・・)
アリサ「・・ってか連休前だから、地味に山奥の公園人多いわね;」
タエコ「こっちの探索終わったので手伝います」
アリサ「ありがと、助かるわ♪」
・・・・・
『北門公園』に到着し、駐車場で通信班からの連絡を待つサチとナギサ・・・。
かれこれ20分が経過した頃・・
ピッ、ガガッ・・
アリサ通信『――・・いたわよ』
ナギサ「アナタにしては随分時間がかかったわね」
アリサ通信『ホントよ・・・。
マジ嫌がらせレベルだわ・・・;』
ナギサ「で?」
アリサ通信『北門公園から出てさらに山奥にある集落・・』
それを聞きながら、サチは車のナビ地図を操作する・・
アリサ通信『貸し釣り具屋のベンチでお弁当食べてたわ;』
サチ「ピクニック。」
アリサ通信『そう!、完全にそのノリよっ!!』プンスカ=3
スミ通信『・・無限演習の防衛線、少し後退しています』
アリサ通信『って事だから・・』
サチ「急行。」
の言葉と同時に、サチは車をギュルルル!と勢いよくバックさせ・・
北門公園を後に・・・
・・・
カーブの多い山道に響く、タイヤが擦れる甲高い音・・・
先行する偵察カメラ1号が、道中に人や対向車がいない事を逐一報告してくれるため
サチ車は躊躇いなしの凄まじい“ドリフト走行”でぐんぐん進む・・・・・
それはまさに、峠の走り屋!!。
サチ「・・・・・」(☆_☆)ギュピィーーーン!!☆
キュルキュルキュルキュルキュルキュル・・!!、ブォォォーーーン!!=3
ナギサ「アハハハ!、いいわいいわいいわぁ〜♪
アナタ受けかと思ったら、攻めも攻め、容赦なしの攻めだったのねぇ!!」
ナギサ「もっとちょうだい!v、
アナタのテクニックを私に全部見せてちょうだい!!」
ナギサの恍惚な叫び声が、無線を通じて通信室に響く・・
タエコ「・・・どういう状況?;」
黙り込んで顔が赤くなるスミとスズナ・・・
アリサ「この部屋、防音で良かったわね・・・・・;」
前の「ストーリー 42」へ
メインに戻る
次の「ストーリー 44」へ
by:
へろ
このコーナーの全ての情報、画像を無断転載することを禁じます
このコーナーは、個人が趣味で作っているもので
各作品の関係者さま、企業さま、出版社さまとは一切関係ありません