彩花の騎士
ストーリー 42

騎士の館から、防衛団専用道路をまたいだ先・・
演習場である『北側の森』をそれぞれ進む3つの班・・・・・。






・・時間を少しだけ溯り、回想・・・・・

『作戦室』での作戦概要の説明のさい、“前線組”のメンバー配置も行われていた。


 ユミ「・・今回の無限演習では班を3つに分けます。
    それと車両班の各車には、護衛という形で1名ずつ同行してもらいます」


配置は以下の通り・・・(※()内は学年と、元の所属班)

A班:ユミ(3ディ)、カナコ(2狙撃)、タツミ(1突撃)、イチル(1支援)
B班:マキ(3突撃)、カヲル(3狙撃)、ユエ(2突撃)、イサミ(1ディ)
C班:アユミ先生(支援)、コウ(2ディ)、チカ(1ディ)、フミコ(1狙撃)

1号車:ケイ(護衛:ミヨ(1支援))
2号車:リサ(護衛:トキエ(2突撃))
3号車:サチ(護衛:ナギサ(3支援))


・・・回想終わり。






・・・






 アユミ「・・・よし、C班はここを拠点に迎え撃つ」

森の中でも少し開けた見通しの良い場所でありながら、
遮蔽物となる大きな岩がいくつも転がっている絶好のポイントに到着した
アユミ先生、コウ、チカ、フミコからなるC班。

 チカ「えぇ〜、もっと進まないんスか〜?」
 アユミ「我々の第一は防衛だ。
     己の実力もわきまえずハンター気取りで深入りするバカは大抵やられる」
 チカ「バ・・・;」凄い言われよう;

 アユミ「いいか、今回のように班を3つに分け
     それぞれの班が一定の距離で、“三角形”の型を維持しながら行動する・・
     これをデルタフォーメーションと言う」

 チカ「うぉぉ!なんかカッコイイっスね!!」(☆□☆)その名前ー!!
コロッと変わるチカ

 アユミ「今回最も火力の高いB班が先頭に立ち、敵本隊と戦う・・
     左右後方に展開した我々C班とA班は、B班が逃がした敵をカバー・・」

アユミ先生が落ちている木の枝を使って、地面に簡単な図を描いて説明してくれる・・

 アユミ「2重の防衛体制だ。
     利点は他にもある・・常に3方向に対応しているので
     こういった通信班のカメラが使い難い森の中では、
     それぞれが目の役割にもなる」

 フミコ「・・各班がレーダーで把握できる絶妙な距離にいるのは
     そのためなんですね」
 アユミ「うむ」

 コウ「この形なら、もしこっち(C班側)に敵がたくさん(敵本隊が)出ても
    今度はA班とB班がサポートになってくれますね」来てほしくないけど・・・;
 アユミ「そういう事だな」


 チカ「なるほどね〜」うんうん!(ー_ー)コクコク

 アユミ&コウ&フミコ「・・・・・・・」





 アユミ「・・・では富士原、この一帯を見渡せつつ、身を隠すことができる
     狙撃ポイントを探せ」
 フミコ「はい」

 アユミ「美里、お前は富士原が狙撃に集中できるよう
     敵の注意を引き、近づけさせないよう囮兼彼女の護衛だ」
 コウ「は、はい!」

 アユミ「二階堂は私とペアでそのまま敵を討つ」
 チカ「へへへ、先生わかってるっスね!、アタシの実力!!b」ニヤリ
 アユミ(・・・というよりお前はお目付け役が必要だ;)



 コウ「・・フミコちゃんは私が守るからね!☆」
 フミコ「お、お願いします・・」
    (何故かちょっと心配になる先輩の決め顔;)

 フミコ(・・・でも最初が先輩と同じ班で良かった・・・。
     ホントはちょっと緊張してたから・・・・・って;)

前を歩くコウが、木の葉で滑って軽く転ぶ・・

 コウ「・・い、異常なし(・v・;)」
誤魔化すコウ

 フミコ「ブフッ!ww」
    (ありですよ!!)


 アユミ「どうした!、美里、富士原!」
 コウ「だ、大丈夫です!;」

肩を小さく振るわせ声を殺して笑うフミコ・・

 アユミ「何かあれば直ぐに(ヘルメット内の)無線を使え!」
 コウ&フミコ「は、はい!」







・・・・・







一方、A班(ユミ、カナコ、タツミ、イチル)。

C班と違って、木々や草むらが多く見通しの悪い場所・・・

 ユミ「・・(フォーメーションの)ポイントはこの辺りだけど・・
    少し視界が悪いわね・・・」

 カナコ「狙撃班が単体で戦うなら、隠れる場所が多いので
     ショット&ムーブ(撃ったら移動)に適した良いところなんですけどね・・・」

 ユミ「・・・そうね。でも今回のチーム編成と敵の数を考えると・・・」
と、4人それぞれが持つ武器を見る・・・


 ユミ「・・・うん。よくぞタツミとイチルは
    UEショットガン(散弾銃)を持って来てくれた・・という感じね(^^)」
 タツミ&イチル「・・・?」

 ユミ「見通し悪いこの場所で、
    拡散弾をばら撒くのは高率の良い敵の足止めになるわ」

 ユミ「貴方達2人が敵の動きを封じている間に、私とカナコが狙い撃つ・・・
    この戦い方がベストかしら?」
 カナコ「ですね。後は実際に演習が始まってからの対応で・・」


 ユミ「質問はある?」
 一同「・・・・・」


 ユミ「では・・タツミ、イチル・・」
 タツミ&イチル「?」

 ユミ「初の実地訓練、頑張りましょう!(^^)」
 タツミ&イチル「・・・」コクリ・・

 カナコ「そこは“はい!”か“了解!”でしょ!、1年っ!!」くわっ

 ユミ「・・・;」
   (ウチ(ディアース班)の娘達とはまた感じ(ノリ)が違うのね・・・(^^;))








・・・・・







そして先頭を任されたB班(マキ、カヲル、ユエ、イサミ)。

遮蔽物としても使える太めの木々が疎らに生え、
移動スペースも十分確保できる好条件な場所。

 カヲル「・・ここならキミの忍者みたいな戦い方も可能だね、フフ」
 マキ「否、今回の訓練の本質はチームプレーにある。
    個人的な戦法は慢心でしかない」

 カヲル「うんうん、僕はキミのそういうスマートなところが好きだ」

 ユエ(うわ〜・・どうしてカヲル先輩って、そんなに簡単に好きだとか言えるの??;)
心なしか顔が赤いユエ

 イサミ(軟派だ・・・。)



 カヲル「・・でも当然、ここに出る敵は全滅を目指すよね?」
 マキ「無論」

 イサミ「あの・・そうなるとA班とC班には・・」
 マキ「案ずるな。
    これは訓練ゆえ、あちら側にも敵が出る仕掛け(プログラム)だ」

 カヲル「遠慮は無用って事だね☆」
イサミに向ってウィンク・・

 イサミ「はい」
    (軟派だ・・・。)


 マキ「では私はユエと・・」
 ユエ「はい!」

 カヲル「じゃ〜僕はキミとだね?」
 イサミ「よろしくお願いします」

 カヲル「うん。キミはどんな輝きを見せてくれるのかな?」サムライガール
 イサミ「輝き・・・」
    (・・・何を言っているのだ・・この人は?;)ポカ〜ン・・







・・・・・







騎士の館・2F『通信室』。

壁に無数のモニターが並び、
その下のコンピューターを、4人横一列に並んで座り、操作する通信班。

それぞれインカムをし、カタカタとキーボードをたたく・・・

 スミ「・・・3班とも戦闘(演習)を開始しました」
 アリサ「了解。
     じゃ〜今から15分間は、“無限演習”の最低実習時間に入るから・・
     フライングの救助者探索はしちゃダメよ」

 スミ&タエコ&スズナ「はい」



4人はコンピューターの操作を中断し、モニターを見つめる。

その一つには、『北側の森』演習場のレーダーが映し出されている・・・

味方を示す青い点と、ムゥリアンを示す赤い点が
秒単位で更新されてチカチカ動き、現状を表示・・・

 アリサ「・・やっぱりB班の敵の減り方が凄いわね・・・」



 スミ「・・あ!」
 タエコ「これはちょっとマズイかな・・・」

2人が不安な声を上げる・・

レーダーでは、C班側で敵が数体
防衛線を抜け、学園へ向って侵攻をはじめている・・・

 アリサ「“ウサ子”、通信」
 スズナ「あわわ;、はいぃ!」






・・・






演習場、C班サイド。

 アユミ「――・・了解。こちらでも把握している」
 スズナ通信『はい、でわ。』


 アユミ「美里ぉっ!!!」
 コウ「はははいっ!?」ビクゥッ!?!

UEサブマシンガンで、迫ってくる2体のゴブリを足止めしているコウに
アユミ先生の大声での無線が入る・・

 アユミ「その敵を倒したら私のもとへ来い!、至急だ!」
 コウ「はははい!(@@;)」

次の瞬間・・

コウの背後から一本の閃光が走り、目の前のゴブリの1体が消滅する。

それに対して振り返ろうとするコウに、通信・・

 フミコ通信『先輩、足止めありがとうございます。
       この距離なら次弾チャージ時間内です。行って下さい』

 コウ「う、うん!、ありがと!」


 フミコ(・・・・・なんだろ・・・・・)
 コウ(・・今、フミコちゃんと凄い息が合ったというか・・)
 フミコ(先輩と通じ合ったみたいで・・)

 コウ(ちょっと感動・・・(=v=))
 フミコ(いいかも・・・)




・・・




 コウ「・・先生!」
ザザッ・・っと、到着。

 アユミ「さっきの鈴木の通信は聞こえていたな?」
 コウ「はい」

 アユミ「ではこれを貸す。
     お前はそれで学園へ向って侵攻している敵3体を背後から吹っ飛ばせ」
と、手渡された武器・・・

UEサブマシンガンより2回り程大きく、ズシリと重い・・
銃器というよりは、大型重火器に近い・・・UEグレネードランチャー。

 コウ「ここ、これを私が撃つんですか!?;」
 アユミ「試射はした事があるだろ?」
 コウ「い、一度だけシミュレータールームで・・・」恐くてすぐ止めましたけど;

 アユミ「なら今日は絶好の機会だ」
 コウ(えぇぇぇぇ・・・;)

 アユミ「Aランク適合者の力を見せてみろ」
 コウ「で、でも!」

 アユミ「現状ではお前が一番動けて近い」

現場の反対側、離れた場所で
「おりゃぁぁぁ!!」と叫びながら突っ込んでいるチカの姿・・

 アユミ「これはお前の任務だ。
     せっかくの訓練、つべこべ言わずやるだけやってみろ!」
 コウ「うぐっ・・;」



・・・



コウはUEグレネードランチャーを手に、緩やかな斜面を駆け登りながら
侵攻を続ける敵を追う・・・

 コウ(・・そ、そうだ!、私は騎士様なんだ!!)

先程まで不安だった顔に、徐々にやる気が戻る・・


 コウ「・・・いた!」


視界に捕えたのは、スライムのようなゲル状のムゥリアン『ゲル』。
レーダー識別では3体となっているが・・

実物(シミュレーター映像)では大きな一塊に見える・・・

 コウ(確かにこれじゃ弾が小さいサブマシンガンじゃ無理だ・・)
と、ぎこちなくUEグレネードランチャーを構える・・

 コウ(よよよし!、チャージ完了、ロックオン・・大丈夫・・・。
    落ち着いて・・・)
基本を思い出して、引き鉄にゆっくり力を込める・・



ドォーーーン!!



高密度に圧縮されたエネルギーボールが発射されたと同時に
その反動でコウは後方に吹っ飛び、斜面を3回転ほど転げ落ちる・・・

 コウ「わわわわわっ!?!;」(@□@川)ぐるぐるぐる


 アユミ通信『美里、大丈夫か!』
 コウ「はははい!;」

すぐさまムクリ・・と起き上がり、敵を確認・・


・・・視界からも、レーダーからも・・3体まとめて消滅。


 コウ「や、やた・・・・・。
    ・・先生!、倒しました!!」

 アユミ通信『うむ、よくやったぞ!。
       グレネードはそのままお前に預ける、再び富士原のサポートに戻れ』

 コウ「は・・はいっ!!」






・・・






学園校舎・地下『避難シェルター』

 ヨシコ「―――・・・よし、出来た。」


メモ帳に何かを書き終えるヨシコ・・



【騎士様コラム】

〜前文省略〜

・・人から見れば、それはあまりにも小さな一歩、小さな成功だ・・
だがその積み重ねこそが、本当の騎士様を作るのだと私は思う。
(著:新聞部 田所ヨシコ)



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by: へろ
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