彩花の騎士
ストーリー 41
2日後・・・4月28日(水)、晴れ。
連休を目前に控えた今日は、授業は2時間目までしかなく・・
3時間目の途中から“避難訓練”が行われる。
午前10:30・・・
キーンコーンカーンコーン・・
3時間目開始のチャイムが鳴り、とりあえずのホームルームがはじまる・・
『2年C組の教室』。
キリア「――・・ほら席につけ〜」
担任のキリア先生が教室に入って来ながら言う・・・
キリア「!」
が、既に生徒達はビシッと着席してスタンバイ。
キリア「お、おぉ・・ウチのクラスは優秀だな;」
生徒A「そりゃ騎士様で委員長のスミさんがいますから(^^)」
キリア「違いないw」
アハハハハと、妙に暖かい笑いがクラスを包む・・
スミ「・・・/////」照れ;
・・・
少しして、教室に副担任の先生がやってくる・・・
「国語」教科教師の『篠田先生』。
優しく人当りが良い、生徒達からの人気も高いアラフォー淑女だ。
キリア「・・サイレンが鳴ったら避難訓練を開始する」
キリア「本来ならアタシか、クラス委員長の墨田が地下シェルターまで先導するんだが・・
どちらも防衛団員だからな・・・
今日は副担任である篠田先生にお任せする」
篠田先生の簡単な挨拶を挟み・・
キリア「・・じゃ〜後は・・・墨田、伊倉、美里以外は帰り支度を済ませとけ。
終わったらそのまま下校だが・・
明日から連休で、今日も早いからといってハメを外すなよ」
・・・
そんなキリア先生の話が一段落した頃・・
午前11:00前・・・
ウゥーーーーーーーーーーーーン!!!・・
聞いていてあまり良い心地のしない大音量のサイレンが校内を包む・・
アナウンス「・・これより避難訓練を開始します」
ガラガラ・・と、一斉に席を立つ生徒達。
キリア「よし。墨田、伊倉、美里は先に出ろ」
コウ&スミ&タエコ「はい!」
生徒達「頑張ってね!」「ファイトー!」
たかが避難訓練とはいえ・・そこは街を代表して赴く、学園のアイドル“騎士様”。
クラスの生徒達から声援が飛ぶ・・
その声を受けながら、廊下に出る3人・・・
コウ「・・・」
これは予行演習の一つだ。
だが改めて、こういったイベントを前にすると、緊張するのは当然。
ましてコウにとっては初舞台・初任務のようなもの・・
憧れだった騎士様として、はじめてそれらしい活動・・・
気合とやる気は十分過ぎる程ある。
が、それ故の不安も同じくだ。
・・・そんなコウの緊張を知ってか知らずか・・
バシッ!=3
コウ「あうっ!?(@@;)」
階段を駆け足で降りている最中に、誰かに背中を叩かれる・・。
振り返ろうとすると、叩いた人物は既にコウの横を走り
そのまま追い越しざまに・・
カナコ「避難訓練だからって気を抜くんじゃないわよ!、コウ!」
カナコである。
コウ「う、うん!!」
一瞬、“親睦会”でのカナコの言葉を思い出した・・・
カナコ『言っとくけどねぇ、アタシはまだアンタの事
同じ2年生団員とは認めてないからね!、“転校生”!!』
・・・だが今は違う・・
カナコの言葉は相変らずキツイ、しかし以前の棘はない。
そんな事を思いながら、降りて来た階段を軽く見上げると・・
2年生団員のユエ、アカネ、シノブ、リサ、トキエが続いている・・・
1階に着けば1年生団員とも合流・・・。
不安や緊張、ストレスを感じる状況下で、
自分と同じ・・1人でないという事は、とても心強い気持ちになる。
見知った人物なら尚の事だ。
コウはもちろん、1年生達もそれを感じつつ、騎士の館に向う・・・・・。
・・・・・
騎士の館・2F『作戦室』。
バトルスーツに身を包んだ全員が、各班ごとにズラリと座る・・・。
少し薄暗くされた室内・・・
電子黒板には彩花街の地図が表示されている。
その前の壇上には、アユミ先生がドンッ!と腕を組んで仁王立ち・・・
リサ「鬼軍曹のリアル“センヒメポーズ”にゃ・・」凄い迫力;
アユミ「・・ではこれより、“防衛団としての”避難訓練・・
改め、実地訓練を開始するっ!!」カッ!
アユミ「作戦概要を伝えてくれ、団長・・」
そう言うと、アユミ先生は横に引き・・壇上をユミに譲る
ユミ「・・今回は新1年生達が加わって初の実地訓練です。
遂行するミッションは2つ・・」
コウ「ゴクリ・・」
(えぇ;、思ってたよりちょっと本格的ぃ?(@@;))
ユミは指し棒を伸ばし、電子黒板に表示されている地図をタッチする・・
と、そこの場所が細かく拡大表示される
ユミ「まず騎士の館『北側の森』から、ムゥリアンが侵攻したとし、
そこで“屋外用シミュレーター装置”を使った無限演習を行ないます」
コウ&1年生「???」
ユミ「屋外用シミュレーター装置というのは、その名の通り・・
シミュレータールームで行なっている事を、
外でも行なえる投影機のようなものね。
より実戦に近い状況を再現する事ができるわ」
ユミ「無限演習は、こちらで定めた時間やタイミングまで
現れるムゥリアンを殲滅し続けるメニューのことよ」
ユミ「2つ目のミッションは救出作戦です。
我が校の先生が3人・・“避難が遅れた人”として、彩花街のどこかにいるので
この3名を探し出し、救出するのが目的となります」
ユミ「そして2つのミッションはリンクしています。
3名を学校の地下シェルターに避難させるまで
無限演習は“敵の足止め”というていで永遠に続けてもらいます」
アリサ「これは通信班と車両班は責任重大ね;」
ケイ「だね」
ユミ「また無限演習終了と同時に、
下の“空地”に危険度の高いムゥリアンが出現します。
前線組は直ちに急行し、それを殲滅・・」
カヲル「ボスキャラってところかい?、フフン・・」
ユミ「そうね。
ただしこのムゥリアンは空地から出て行くようプログラムをしているので
出た時点・・つまり防衛限界ラインを超えたら私達の敗北となり・・」
アユミ「・・連休初日を補習に使ってもらう」
一同(えぇーーーーー!?;)
ナギサ「最初の実地訓練でこれね・・・なかなかドSで素敵じゃないv」クフフ・・
シイナ「ちなみにミッション作成はアタシ。
プレゼンティッドバーイ、アタシ!」キラーンb☆
一同(「アタシの提供でお送りしますb☆」じゃ、なぁーーーい!!;)
そして席の後ろでその様子を見ていたキリア先生が付け加えるように・・
キリア「・・整備班はミッションの間、
アタシが用意した筆記と実技の課題をみっちり受けてもらう。みっちりな」
アカネ(みっちり2回言うたで;)
キリア「こちらも合格水準に達しなければ、敗北扱いで明日は補習だ」
シノブ「ま、当然ですわね・・」私達も騎士様の一員なのですから
アカネ「しゃ、しゃーない・・ここは連休のためや思て、いっちょやったるわい!」
モトコ「はい!」
整備班の姿勢に、前線組の士気も自然と上がる・・・
ユミ「・・尚、私達の実地訓練が終了するまで、一般生徒達は下校できません。
時間目標は90分以内。こちらも目指して頑張りましょう!」
一同「はい!」
ユミ「・・では5分後、11時20分に・・」
シイナ「チッチッチ、ここはカッコ良く1120(ひとひとふたまる)って言おーよ」
ユミ「そ、そう?」
シイナ「気分上がるってw」
ユミ「ゴホン・・。では5分後、1120(ひとひとふたまる)・・作戦を開始します。」
一同「はい!!」
前の「ストーリー 40」へ
メインに戻る
次の「ストーリー 42」へ
by:
へろ
このコーナーの全ての情報、画像を無断転載することを禁じます
このコーナーは、個人が趣味で作っているもので
各作品の関係者さま、企業さま、出版社さまとは一切関係ありません