彩花の騎士
ストーリー 40

放課後、
コウや1年生達が“ムゥリアンの勉強会”をしていた同時間。

校舎別館の2階、文科系クラブの部室フロア・・・

その奥の・・
一般生徒からは物置と思われている一室内・・・・・。


外は小雨が降り、薄暗いその部屋の中で
電気も点けずにゴソゴソと動くいくつかの人影・・・


やがて、長い一本足の円型テーブルを立って囲むそれら人影は5つ・・・



ガラガラピシャーーーーーンッ!!!!!



雷鳴が轟く・・



 ???「――・・・っていい加減、電気点けていい?」暗いんだけど
 ???「クフフ・・仕方ないわね・・・」

 ???「じゃ点けまーす」


蛍光灯がチカチカと点ると・・・


シルエットの人影達が判明する。

シイナとナギサ、それに一般生徒が3名・・・。




ガラガラピシャーーーーーンッ!!!!!



雷鳴が轟く・・



 シイナ「それも五月蝿いから止めましょ」
 生徒「そうですね・・」

シイナに言われ、
生徒の1人が部屋に置いてあるCDプレーヤーの停止ボタンを押す・・

ガラガラピシャ・・・プッ・・・―――――

すると雷鳴の音が止まる・・・。


 ナギサ「アラ良い雰囲気出てたのに・・・」
 シイナ「“怪談を盛り上げるBGM集99選”ね・・・どこで仕入れたのよ」こんなの
机の上に置かれた、そう書かれたCDの空ケースを取って見るシイナ

 ナギサ「44曲目の“女性の悲鳴”、99曲目の“断末魔”はオススメよ・・ウフフv」
 シイナ「何「アルバムの3曲目好き〜♪」みたいな感じで言ってんの;」恐いんですけど


 生徒「・・ゴホン!」
と、2人の会話を遮る咳払いし

太いフレームの黒ぶちメガネをかけた、3年生の腕章の生徒が切り出す・・

 黒斑「えぇ〜・・では、オカルト研究会かっこ学園非公認の
    不定期会合をはじめたいと思います」

 シイナ「よっ!、待ってました!」
 生徒「ドンドンドンパフパフー!」

シイナに続いたのは・・
下ろした前髪で目が隠れて見えない2年生。名字は『貞』。
見かけに反してのノリの軽さ・・・


 黒斑「議題はもちろんコレ!」
バンッ!と机の中央に置かれた雑誌を叩く

 黒斑「“オカルトパーフェクトファイル UMA黄金時代編”!!」
それは先日、ナギサとシイナが買った物だ・・・

 黒斑「そして問題のコレ!」
バンッ!と机の中央に置かれた、もう1つの雑誌を叩く

その都度、“怪談BGM集99選”の空ケースが跳ね上がる・・・

 シイナ(バンッバンッ五月蝿いな〜・・
     黒斑も大概仕切り屋だからね;)大きい音立てたがり


 黒斑「“別冊トレジャーハント UMAの正体見たり!”!!」

 一同「ブー!ブー!」

 黒斑「そうです!、これはいけませんね〜・・この本はダメです!」
 ナギサ「クフフ・・、別冊の方には浪漫が足りないのよね・・・」

ナギサの言葉に深く頷くのは・・
色白で線の細い1年生。名字は『柳』。

 黒斑「そのとーり!!」
 シイナ「まぁ大戦以降、多くのUMAはムゥリアンって解釈ばかりになったからね」

 貞「そこですよシーナ先輩!!
   オカルトを嗜む者にはそこを断定しちゃいけないってラインがあって・・」
 シイナ「その不確かさこそが浪漫でしょ?、解ってるからここにいるのよ」
 貞「ですよねー!!」

 黒斑「だがしかーし!、この別冊トレハンはどうだ!」バンバンッ!!

 シイナ「ビッグフットをゴブリやデブルに関連付けるとか論外でしょw」


 ナギサ「・・・ムゥリアンで思い出したけど・・
     こっちのオカルトパーフェクトファイルのおまけに面白いのがあったわね・・・」
 貞「あぁ!、チュパ蕪田って人のコラムですよね!!」
 ナギサ「えぇそう・・」

 シイナ「大戦前に作られたB級洋画に出てくる怪物と
     ムゥリアンの奇妙な共通点ね!」

 柳「・・・月での最初の遭遇以前に大国がムゥリアンの存在を知っていて
   それを隠蔽していた・・という噂が以前ありましたね・・・」ボソ・・

 シイナ「政府隠蔽説か!?、うわちょい待ち!!
     そのコラムと別冊トレハン照らし合わせてみようよ!」
 黒斑「マジかー!、この2冊にはそういうメッセージが隠されてたかー!!」
 貞「たぎってきましたねー!!」


 ナギサ「クフフ・・素晴らしき馬鹿騒ぎ・・・」ニタァ・・




・・・オカ研の熱い話は尽きない・・・・・。








・・・・・








夕方、5時45分頃。

『通信室』から出てくる通信班の4人・・・

 タエコ「・・お、雨上がってんじゃん♪」
廊下の窓から外を見ると、雲の合間から夕方の陽射しが綺麗にさし込んでいる・・・

 スミ「よかった(^^)」
 スズナ「はいぃ」

 アリサ「寄り道しないで帰りなさいよ」
 タエコ「アリサ先輩にだけは言われたくなかった・・・」
 アリサ「タエコぉぉぉ〜〜〜?」

 タエコ「イダダダダッ!?」
アリサに太ももをつねられるタエコ

 タエコ「ここ一番痛いとこ!ここ一番痛いとこ!!」
つねられた箇所を摩りながら大声を上げる

 アリサ「知ってるわよ」

 スミ「もぉ〜(^^;)」言わなくていいこと言うから・・・
 スズナ「ハハ・・・(^^;)」


廊下で通信班が騒いでいると・・


隣の『シミュレータールーム』から
ディアース班のコウとイサミ、支援班のミヨとイチルが出てくる・・

 タエコ「・・!、おぉなんか珍しい組み合わせ?」

 コウ「あ、タエチー・・」
次の相手の名を言おうと目線を向けると、

アリサと目が合う・・
 コウ「ビクッ!?」

 アリサ「や〜ねぇw、もぉ何もしないわよw。
     ユミとナギサ(各班の3年)は?」

 コウ「あ、ゆ、ユミ先輩は・・・;」
と、目線を通信室の向こう側・・『作戦室』に向ける・・・

 アリサ「あぁ〜デコちゃんの補習ね」まだやってるんだ・・・;


 ミヨ「ナギサ先輩は・・・」
 イチル「キミだけが見えない・・暗闇の中、ボクの心は途方に暮れる・・・」

 タエコ「は?;」

 ミヨ「・・行方不明です(^^;)」

 アリサ「アハハ!w」
 スミ「アハハじゃないですよ;」


 コウ「・・で、偶然2人と会って、4人で・・・」
 スミ「ディアース班も歩兵時は支援班と同じ役割だもんね(^^)」
 コウ「うん」
 タエコ「なるほど、そう考えたら意外と普通かw」その組み合わせも



そうこう廊下で話していると・・
『作戦室』のドアがゆっくり開き、ユミが出てくる・・・


 ユミ「・・・」
しかし普段とは違う、俯いたユミの姿に・・

 コウ「ゆ、ユミ先輩!?」
 イサミ「お姉様!?」
一目散に駆け寄る2人

 ユミ「・・あ・・2人共・・・・・」
 イサミ「どうされたのですかっ!?」
 ユミ「・・ち、チカが・・・・・」

 コウ「チカちゃんがっ!?!」
それを聞いて、慌てて作戦室内を覗き込むコウ・・




 チカ「・・・・・・・・・・」




 コウ「!!!??!!」
   (えぇぇぇーーーーー!?(@□@川))


イスに座ったまま
真っ白になって、燃え尽きたかのようにうな垂れているチカ・・・・・(劇画調)



 イサミ「に、二階堂・・・;」一体これは・・・
続くイサミも、その現場を見て唖然



 ユミ「急にチカが動かなく・・・うぅ・・・・・」



何事かと、そこにいた残りの面々も作戦室内を見に来る・・



と・・
 ミヨ「あぁ〜大丈夫ですよ」

 一同「?」

 ミヨ「あの娘、2時間ぐらい休まずに勉強するとあぁなるんです」昔から

 タエコ「なにその仕様・・・;」フリーズ?

 ミヨ「こういう時は・・・・・」
1人作戦室内にツカツカと入っていくミヨ・・


 一同「・・・」
それをドアより外から見守る一同



ミヨはゴソゴソと、チカのスカートのポケットに手を入れ
彼女のケータイを取り出す・・・
 ミヨ「・・・この曲・・かな?」

見知った感じで、チカのケータイを操作すると・・・



♪デケデケデデーデッデッデ!、デケデケデデーデッデッデ!♪



コッテコテのヒーローソングのイントロが流れ始める・・

・・すると、徐々に真っ白だったチカに色みが戻ってくる・・・・・


 一同「おぉぉぉー!!」




 チカ「・・・!?」
目を醒ますチカ・・

 チカ「こ、ここは・・・?」
 ミヨ「フッフッフッ・・お目覚めかね?、二階堂チカくん」
 チカ「き、貴様!、ドワルイダー総帥!?」ハッ!?

ビシッ!!=3

ミヨの脳天チョップがチカに炸裂・・

 ミヨ「まったく・・先輩に迷惑かけないの!、バカチカ!!」誰がドワルイダーよ
 チカ「いちち・・」


 アリサ「・・うわ〜・・・ユミ、面倒な娘抱え込んだわねぇ〜・・・」

 一同(貴方がそれを言わないで下さい;)


 ユミ「・・で、でも良かった・・・」ホッ・・




・・・




結局、チカの扱いに慣れているミヨが
家に帰って勉強の続きを見る事になり・・・



 ナギサ「―――・・あぁ〜ここにいたのね・・」

オカルト談義を満喫していたナギサが、この場にしれっとやって来る・・

 ミヨ「ナギサ先輩!、今までどこにいたんですか!」もぉ下校時間ですよ!
 イチル「霧に包まれたラビリンス・・・」


 ナギサ「・・この世界の真実についてちょっと・・ね。ウフフ・・」


 タエコ「壮大っ!、理由が壮大過ぎるっ!!」くわっ!!!
がに股で両手を広げ、全力で叫ぶタエコ

 アリサ「タエコやるわね・・・フフッ・・
     ツッコミのキレが上がっていてよ・・・」ゴクリ・・
 スミ「好敵手を認めたようなシリアス顔で何言ってるんですか;」タエチーも足閉じて


 チカ「せ、世界の真実ぅっ!?!!」(☆□☆)バッ!
 ミヨ「アンタは乗っからなくていいの」これ以上ややこしくするな




 コウ「・・・・・;」
   (今日ムゥリアン予報20%でそわそわしてた私の緊張・・・なんだったの!?)

 イサミ(・・・心底思う・・・我が班の班長がお姉様で良かったと・・・・・。)



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by: へろ
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