彩花の騎士
ストーリー 31

校舎別館・3F『食堂』。

昼休みも半分を過ぎ、人の数も大分疎らになっている・・・。


シミュレータールームでの勝負云々を終えた
2年のコウ、カナコ、スミ、タエコ。1年のイサミ、フミコ、スズナが
少し遅い昼食をとりに、食堂に訪れていた・・・。




早々にメニューを決めたカナコやスミ、イサミ、フミコは
カウンターに向う一方で・・


食券の自販機前では・・

 タエコ「何で今日に限ってアタシの食べたいのが
     AセットとBセットに別れてるのよっ!!!」んあ゛ぁぁぁー!!
頭を両手で抱えて、本気で嘆くタエコ。



その様子を、カウンターでメニューを受け取る合間、見ているカナコとスミ・・

 カナコ「・・・どうしてタエコは自販機前で絶叫してるわけ?;」
 スミ「気にしないであげて・・・」(^^;)結構いつもの事だし・・



タエコの横では他2名も、食券を買うのにもたもたしている・・・

 スズナ(う〜ん・・どうしよぅ・・、私食べるの遅いから・・・
     一番少ないの・・一番少ないのわ・・・)あわあわ

 コウ(今日は・・ラーメンの気分かな・・♪)
と、財布を開く・・・

 コウ(・・あぁしまったぁーーー!!!(@□@川)
    昨日の桜祭で使い過ぎたんだったぁー!!!)ガビーン


 コウ(仕方ない・・)
しぶしぶ麺類で最も安い、“かけうどん/そば”のボタンを押す・・・。




・・・




外の景色が一望できる、絶好の窓際席に陣取る騎士様御一行。

 スミ「じゃ〜みんな揃ったので、いただきま〜す」
 一同「いただきま〜す」



 カナコ「・・・ねぇ、通信班のドジっ娘のそれ・・・何?」
 スズナ「焼き鮭ですぅ」

 カナコ「いや見れば分かるわよ。
     何で単品でそれだけなのか・・って聞いてるんだけど・・」

 スズナ「サラダが売り切れてて・・はうぅ・・・」

 カナコ「で鮭?、意味わかんないんだけど」
 タエコ「ちょっとちょっとちょっと!、ウチの娘に絡まないでくれる!」
 カナコ「別に気になったから聞いてるだけでしょ!」絡んでないわよ
 タエコ「アンタの言い方キツイのよ!」
 スズナ「あわあわ・・」(@△@)涙目

 スミ「・・2人共食事の時ぐらい仲良くして!」

 カナコ&タエコ「・・はい・・・」
        (スミがキレた・・温厚なスミがキレた・・・;)


 スミ「タエチー、スズちゃんと席変わって!」
 タエコ「?」

 スミ「スズちゃん、私の定食と分けて一緒に食べよ(^^)」
 スズナ「スミ先輩ぃ〜・・」(>△<)ひぃ〜ん・・桐原先輩達コワイですぅ

 カナコ&タエコ「・・・・・(==;)」

 イサミ(軟弱者め・・)





 コウ「・・あ;、そうだ!、みんな知ってる?
    三枝女子のディアースの・・コスモスって名前の由来・・」
場の微妙な空気を変えようと、話題をふるコウ・・

 タエコ「・・あ、あぁ〜何かあったわね、それ。・・何だっけ?」
調子を合わせるタエコ

 カナコ「・・花言葉で“乙女の純潔”でしょ?」
 コウ「そう!、イサミちゃん知ってた?」

 イサミ「常識です」ちゃん付けはやめて下さい

 コウ「そ、そうですか・・;」常識なんだ・・・・・ガクッ


 カナコ「っていうかアタシ、名前付けた御本人知ってるし」フフン

 コウ「え!、そうなの!?」

 カナコ「えぇ。当時の校内新聞じゃ匿名になってたけどね・・」
 コウ「なんと!!」

カナコはパスタにフォークを突き立て、くるくると巻く・・

 カナコ「・・どうして匿名にしたかも推理はついてるわ」
得意気な顔で、巻き付けたパスタを一口・・

 タエコ「どーせ回りから色々言われるのが面倒だったとかでしょ?」

 カナコ「はぁ〜やだやだ、食べ物の事しか頭にない人って・・」ロマンのない
 タエコ「悪ぅ〜御座いましたね」
と、生姜焼き定食のあてに付いている、千切りキャベツを口いっぱいに頬張る

 タエコ「もっしゃ、もっしゃ、もっしゃ・・」
 カナコ「・・・;」牛か・・


 コウ「で?、で?」
 カナコ「・・ゴホン。
     つまりよ、そこには公表できない何か秘密があるわけ」ニヤリ

 コウ「をぉ〜!!」(@0@)興味津々

 カナコ「聞きたい?」
 コウ「聞きたい!」(☆▽☆)キラキラ

 フミコ(あ・・先輩のスイッチ入った・・・)
煮魚定食に付いている、お浸しを食べながら・・
コウのころころ変わる表情を楽しんでいるフミコ。


 カナコ「仕方ないわね〜・・オフレコよ、コレ」
 タエコ(むしろ言いたくて仕方ないって顔だな・・・;)



 カナコ「“コスモス”とその花言葉を添えて、新聞部の企画に投稿したのは
     当時の3年生、『花巻カノエ』先輩って方なんだけど・・・」
 コウ「うんうん」

 タエコ「花巻・・・あれ?、その名前聞き覚えあるな・・」

 スミ「確か狙撃班ファンクラブのリーダーの方じゃなかった・・・?」
スズナとイチャイチャ食事をしているスミが、少しばかり話に入ってくる・・

 カナコ「そ」
 タエコ「あぁ〜!、そうだそうだ!
     あの日本人形みたいな色白で長い黒髪の美人さん!」

 カナコ「アンタにしてはよく覚えてたわね・・」
 タエコ「そりゃだって、騎士の館の前で先輩達キs・・」
 カナコ「シャラーップ!!」
 タエコ「はいはい;」

 コウ「???。・・・でも狙撃班ファンクラブってことは・・
    ディアース班のもあったりするのかな〜?」ニヘラ〜

 カナコ「あるわよ。一応、全班分・・
     まぁ人気は前線組が圧倒的だけどね」フフン
 タエコ「後方支援組ですがナニカ?」
 カナコ「アンタのところは“姫”がいるから当分安泰でしょ」

 コウ(!?、そういえばカナコちゃんの狙撃班と、タエチー達の通信班・・
    3年生は王子と姫だった!!Σ(@□@;)
    もしかして上が破局したから2人は仲悪いの???)妄想スタート



 イサミ「・・・あの、話戻してもらって構いませんか?」脱線が酷い・・・
 カナコ「あぁそうね」

 カナコ「でそのカノエ先輩は当時、
     狙撃班のファンクラブリーダーだったわけだけど・・」

 コウ「ふむふむ・・」
我に返り・・話の合間を見て、うどんを一口ちゅるり・・


 カナコ「それとは別に・・カノエ先輩は
     狙撃班とディアース班の先代班長のお2人と、幼馴染の間柄なのよ・・・」

 コウ「ユミ先輩とカヲル先輩の先輩にあたる人達だね」

 タエコ(先輩って何回言うのよ・・・)
心の中でツッコミながら、ご飯を生姜焼きで器用に巻き、ガブリと大きな一口・・。



カナコは回りをチラチラ見た後、身を乗り出し、
コウの耳元に顔を近づけて小声になる・・

 カナコ「(・・ウワサだとこの3人、いわゆる三角関係ってやつで・・)」
 コウ「さ、三角っ!!!」(@□@川)

 カナコ「(声が大きい!)」しー!

慌てて口を抑えるコウ・・


カナコは身を乗り出すのをやめ、席に座り直す・・

 カナコ「狙撃班のファンクラブリーダーであり、
     もう一方のディアースには“乙女の純潔”なんて意味深な名前・・」
 コウ「はわわ・・」

 カナコ「アタシが推測するに・・これはつまりアレよね」キラーン☆

 コウ「うわぁー!、コスモスの名前の裏に隠されたお姉様方のっ!?」
 カナコ「(声が大きい!!)」しー!!
 コウ「あわわ(@@;)」


 タエコ(ってかアンタ達、仲良いな;)さっきまで勝負だ何だ言ってたのに・・



 イサミ「・・・・・」

 イサミ「・・・最後の方は桐原先輩の、ただの妄想ですよね?」
 カナコ「もっ;・・・・・そ、そうだけど」妄想って何か失礼ね・・;

 イサミ「私はその由来には賛同出来ませんね。
     ディアースは言わば騎士様の象徴、花形」
 カナコ「ムッ・・」まるで自分達の班が主役の物言いね

 イサミ「そのような浮ついたものではないはずです。
     防衛の要と掛け・・
     気高く犯し難い神聖なものに例えたに違いありません」

 コウ「をぉぉ!その説も有りだー!!」(>▽<)何かカッコイイ
 カナコ(うっ・・不覚にも、アタシもちょっとカッコイイと思ってしまった・・;)


 タエコ「・・・ま、そーやって色々話題にできるよう
     新聞部が良さげなのチョイスしたってオチでしょ」アンタ達も好きね〜
お腹を満たしたタエコは、満足気に一言

 コウ&カナコ&イサミ(コイツめ・・・・・)身も蓋もない・・



 フミコ(・・結局、先輩(コウ)と桐原先輩・・石橋さんは、
     防衛団・・騎士様という共通の話題で盛り上がれる関係なのは理解できた・・)

 フミコ(私にはその感覚がよく解らないけど・・。
     なんだろう・・・自分に関係のある先輩同士が仲良くなるのって・・
     下は妙に安心するというか・・・)

1人マイペースに煮魚定食を食べ終わるフミコ

 フミコ「ごちそうさまでした・・・」

 コウ「え!?、フミコちゃんもぉ食べ終わったの!?」
 カナコ「早っ!」

 フミコ「・・先輩達が喋ってて遅いだけです」麺のびてますよ・・







・・・・・







昼食を終え・・

教室に戻るため、本校舎への渡り廊下を歩く一同。

 スミ「――・・鮭、味しっかり付いてて美味しかったね(^^)」
 スズナ「はいぃ〜(^^)」
 タエコ「マジ!?、何でアタシに一口くれなかったの!?」


と・・

 一同「!」

見通しの良い、3階の渡り廊下から
騎士の館を指差して、何やら雑談をしているユミとシイナ、カヲルを発見。

 カナコ「カヲル様!」

 カヲル「・・ん?」
 ユミ「あら」
 シイナ「おやおや〜」
カナコの声に振り返った3年生達は、
コウ達1、2年生の面子を見て、少し驚いた様子だ・・


 ユミ「みんな揃ってお昼だったの?」
 コウ「はい(^^)」

 ユミ「・・そう(^^)」
コウの笑顔から、カナコとの勝負の結果が良い方向に向いた事を理解したユミ。
何も言わず、ただ微笑みで返す・・

 ユミ「イサミも?」
 イサミ「はい・・」

 ユミ「フフ・・(^^)」
 イサミ「・・?」


 カヲル「ハハ、何だいフミコも一緒だったのかい?」
 フミコ「はい」

 カヲル「う〜ん、実にスマートだね!☆」
指パッチンで指を鳴らしつつの・・そのまま人差指でフミコを指し、ウィンク

 フミコ「はぁ・・」スマート??

 コウ「(今カヲル先輩から星でたよね・・?)」
 カナコ「(ふ〜ん・・アンタにも見えるんだ・・・スーパースターオーラ)」
 コウ「(ス・・?、何?;)」


 カヲル「カナコはどうだい?、有意義なランチを過ごせたかな?」
 カナコ「はい!、今度は是非カヲル様達も御一緒に!!」

 カヲル「あぁ、もちろんだとも・・」

 カヲル「1人で食べる高級料理より、
     誰かと食べる食堂の料理の方が何故か美味しい・・実に不思議だ・・・」
人差指と中指を軽くおでこにあて、目を瞑って小さく首を振る

 カヲル「・・それは共に語り合う事が最高のスパイスだから!」バッ!

 一同(出た!;、バックに薔薇!!、そして飛び散る光の滴!!)

 カナコ(キャー!、カヲル様ぁ〜!!(>▽<))
 コウ(これがウワサのスーパー何とか!!(@□@川))



 シイナ「・・はいはい。こんなところでお芝居はじめないの」
 カヲル「ちょっシーナ!?、引っ張るんじゃない!」

シイナは、コウ達の集まりに3年生が入る事で
昼食後の余韻の妨げになると読み、気を利かせてその場を退散する・・
カヲルの腕を引っ張りながら。


 ユミ「・・・(^^;)。じゃあみんな、放課後また」
 コウ「あ;、はい!」

ユミは軽く手を振ってコウ達と別れ、
シイナとカヲルの後を追う・・


ユミは追い付いたシイナとカヲルの背中をポンッとたたいて合流・・

 カヲル「――・・スマートではない!」

カヲルが何かを言っているようだが、ユミとシイナは楽し気に笑うのみ。




そんな3年生達の仲の良さそうな後ろ姿を見る、コウ達一同・・・。


 コウ「・・・お姉様方の・・三角・・」
 カナコ「コラコラ;」



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by: へろ
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