彩花の騎士
ストーリー 29

夜、11時・・・コウの部屋。


点けっぱなしのテレビからニュース番組が流れているのを余所に
ベッドで寝転びながら、ケータイをいじるコウ。


そこに表示されているのは・・・桜祭での写真。


下手な自分撮りで撮った、フミコとのツーショット・・・

山盛りのヤキソバをドカ食いしているタエコや、

光るおもちゃの刀でチャンバラをするリサとチカ、
やれやれ顔のスミとミヨ・・・

たこ焼の熱さに驚いているスズナに、無表情でジュースを差し出しているサチ・・

遊びに来ていた三枝女子の生徒達に囲まれているマキ、

カラオケ大会のステージで、ド演歌を拳を握って熱唱するケイ・・・。


・・・そんな写真の数々だ。


 コウ「・・ムフフ」ニヤニヤ



ピロリロリン♪


・・とそこに、メールだ。

 コウ(ん?、リサちゃんから?。タイトル・・拡散ビーム砲???、何?;)

 文【今日は乙でありんす(ニヤリ顔の絵文字)
   記念写真送ったから、フミコ嬢にも回しといてちょ(メアド知んない(>0<))
   んでわでわお休み〜ミ☆】

 コウ「記念写真・・?」

メールに添付されたファイルを開くと・・
桜祭に参加していた騎士様メンバー全員が写った写真だ。

 コウ「おぉ!!=3」


早速その集合写真と、コウ自身が撮った幾つかの写真も添え
フミコにメールを送信する・・・。



ピロリロリン♪



しばらくして、フミコからの返信・・・

 文【ありがとうございます。】

 コウ「あれ?、画像付き?」
フミコから送られてきたメールにも添付ファイル・・・

それを開けると・・・

 コウ「はうっ!!?!?;」



コウの間抜けな寝顔写真だ。しかも暗がりでちょっと恐い・・・。



 コウ(フミコちゃーーーん!!!(;>△<)∴)ピコピコピコピコ・・!
花見の途中で寝てしまった事を、改めて謝罪メールとして・・写真の消去要請も入れて
素早く文を打ち込み返信・・


ピロリロリン♪


 フミコからの返信【私は全然怒っていません。
          むしろこれはお宝写真ですので、永久保存しておきます。】

 コウ「ゴハァーーーッ!!!Σ(>□<川)」



 コウ(・・・・・し、仕方ない・・・寝てしまった罰として・・・受け止めよう・・・・・;)









・・・翌朝、月曜日。

土日も特訓で学校に来・・何人かとは昨晩、桜祭を一緒に楽しんだこともあり・・
休み明けという感覚があまりない。


『騎士の館 2F・作戦室』前の廊下。

 コウ「ふぁ〜〜〜あ・・・」
思わずあくびが出る・・

 ???「あら大きなあくびだことw」クスクス・・

 コウ「ふぇ?」
振り返ると、ユミが上品に笑っている

 コウ「ゆゆゆゆユミ先輩!?、おはよう御座います!!」あたふた

 ユミ「おはよう(^^)。
    シイナから聞いたわよ、土日も頑張ってたんですってね」
 コウ「あ、いえ、えっと・・はい!」

 ユミ「偉いわ(^^)。
    今度は私やイサミやチカにも声をかけてちょうだいね」
 コウ「は、はい!、是非!」

 ユミ「フフ、じゃあ中に入りましょう・・」

 コウ(ユミ先輩に褒められたぁーーー!!)(☆□☆)ハァハァ



そんな2人の会話を偶然、階段から廊下への曲がり角で聞こえていた人物・・

 カナコ(・・ふぅ〜ん・・・)ニヤリ





・・・





朝のミーティング。

壇上にはキリア先生・・

 キリア「――・・では放課後、1年と2年の美里は“バトルスーツ”の試着をするので、
     1階のトレーニングルームに集まること」
 一同「はい」


ユミがキリア先生と入れ替わり・・

 ユミ「他に何かある人は・・・?」

 ユミ「・・・いないようなので、朝のミーティングを終了します。」


ガラガラと席を立つ生徒達・・

さっさと退室する者もいれば・・班長の元に集まり、今日の予定を聞く者・・
仲の良い者同士で喋り始める者など・・・



そんな中、ディアース班・・・

 コウ「・・じゃあユミ先輩、お昼休みシミュレータールーム使わせてもらいますね!」
 ユミ「えぇ・・。今の自分が出来る事を最大限がんばって来なさい」
 コウ「はい!」(炎□炎)

 チカ「?。何をっスか?」
 イサミ「お前はいい」
 チカ「えぇー!、気になるじゃんよ!!」
 イサミ「その騒がしさが不必要だと言っている」
 チカ「ちぇっ!、ちぇっ!、カッコつけちゃってさ!」(>3<)∴

 チカ「『不必要だと言っている』・・・フッ」

 イサミ「貴様・・」

 ユミ「ホラ2人とも」
 コウ「ハハ・・・(^^;)」



そんなこんなでディアース班が『作戦室』を出ると・・・

 タエコ「コウ!、ちょっと・・」
廊下の先でタエコが手を振ってコウを呼ぶ

タエコと一緒にいるのはスミと、カナコだ。

 コウ「じゃあ私は・・」
ユミ達と別れ、タエコ達のもとに軽い駆け足で向う・・・。





・・・





 カナコ「――・・約束の1週間だけど・・気は変わらないわよねぇ?」
 コウ「あ、当たり前だよ!」鼻息フンッ=3

 カナコ「フフ、そうこなくっちゃ・・・」ニヤリ

 タエコ「カナコ・・アンタ悪役キャラが板に付いてきたわね;」嬉しそうに・・
 カナコ「うるさいわね!」誰が悪役よ

 カナコ「いーい転校生!、昼休みシミュレータールーム
     忘れるんじゃないわよ!!」
 コウ「もちろんっ!!!」

 タエコ(お、おぅ・・何かコウ強気だな・・・)


コウとカナコは睨み合う・・・・・。




・・・・・が、しばらくそれを続けてる内に、お互いの口元が緩みかけ・・
ギュッと口を締め、表情の変化を隠そうとする。

シリアスにしようとする程、笑いが込み上げる・・睨めっこのアレだ・・・。


 スミ(あ、あれ?・・・何だろう・・・???
    コウもカナコさんもちょっとこのノリ楽しんでない??;)


 カナコ「・・じゃ、じゃあ〜・・昼休み・・」
照れるように、ちょっと頬を赤らめ・・視線をそらす・・・

 コウ「う、うん・・・昼休み・・」
コウも同じくだ。


 タエコ(付き合いたての2人かっ!!!)(@□@川)





・・・





カナコと別れ、教室に向うコウ・スミ・タエコ。

 タエコ「・・コウ、アンタ・・カナコの前だと変に強気だよね?」
 スミ「それ私も不思議に思った・・・どうしてなの?」

 コウ「・・う〜ん・・・桐原さんのペースって言うのかな・・?
    あの人、そういう空気持ってるんだよ・・・」
 タエコ「何言ってるか全然解んないんだけど;」ぼんやりし過ぎて


 コウ「変な話だけど・・・桐原さんの強気には、萎縮して引くより、
    こっちも強気で行っていい・・って感じにさせてくれるんだ・・(^^;)」

 タエコ「あぁ〜・・分かる分かる。それはあるわねw
     特にコウに対しては妙な悪役キャラ付いてるしww」

 コウ「そう!、あのキャラおもしろいよね!。漫画とかでよくある・・
    元は敵で後々心強い仲間になる・・みたいな♪」
 タエコ「出たメルヘン脳!」

 スミ「コウからして見れば・・カナコさんの態度は
    自分を物語の主人公みたいにして見せてくれてるのかもw」スポ根系の

 タエコ「なるほどね・・。“ライバルキャラ”みたいな設定フィルター付けて
     カナコの事見てるんだ・・・アンタ;」

 コウ「そ、そうやって分析されると何か凄い恥ずかしいけど・・・;」通信班のお2人さん


 コウ「でも訓練とか、昨日一昨日の特訓してる時、思うんだ・・
    この頑張れる切っ掛けとか、モチベーションって
    やっぱり桐原さんとの今回の件が凄く大きいって・・・」


 タエコ「・・・・・」
    (何て言うか・・・相変らずの、お人好し&メルヘン脳で
     良い具合にカナコが美化解釈されてて良かったよ・・・;)同じ防衛団なわけだし



 コウ「・・・ん?、どうしたの?」

 タエコ「この便利な頭め!」
コウの頭を両手でわしゃわしゃとする

 コウ「ちょっ!?」



ボッサボサになった頭のコウ・・・
 コウ「・・・・・」(・△・;)ポカーン・・



 スミ「ぷっ!」
 タエコ「アハハハハハ!!」

 コウ「・・なんなの!、タエチー!!、スミちゃん!!」プンスカ=3






・・・






一方のカナコ・・・。

騎士の館の出入口で、ユエとトキエと合流。

 トキエ「――・・随分とご機嫌だな、カナコ」

 カナコ「はぁ?、どこがよ!」
 トキエ「いや鼻歌うたってたろ、今・・」
 カナコ「歌ってないわよ!」

 ユエ「・・・(^^;)。
    それよりさ、さっきコウ達と何話してたの?」少しもめてる感じだったけど

 トキエ「なんだいアンタ、また転校生に絡んでたのか?」やめてやれよ
 カナコ「絡んでないわよ!!」人聞きの悪い・・

 ユエ「・・で?」
 カナコ「ちょっと能天気な娘だからお尻叩いてあげてたのよ!!」

 トキエ「ふ〜ん・・・」ニヤニヤ

 カナコ「何よそのリアクション!」
 トキエ「いんや」

 カナコ「同じ前線組にヘッポコが混じってたらシャレにならないでしょ!」
 トキエ「別に何も言ってねーじゃん・・・;」

 ユエ(カナコらしいと言えばだけど・・・
    相変らずそういうところ下手なんだから(^^;))

言い合いをしているカナコとトキエ、しかしそこに争う気配はない。

そんな2人を見つつ・・
 ユエ(コウ大丈夫かな〜・・・・・カナコ当たりキツイから・・・;)








・・・・・








2時間目の授業が終了した、休憩時間・・・『1年B組の教室』。

席で次の授業の準備をするイサミ・・

 イサミ(・・・しかし美里先輩は本当に桐原先輩に勝つ気でいるのだろうか・・・)

 イサミ(言い返した姿勢には好感を持てたが・・)

 イサミ(・・・金曜日までの訓練内容を見るに・・・・・)

イサミの中で思い出されるコウの姿は・・
立体映像にビックリしてズッコケていたり、緊張してぎこちない動きであったり、
後輩の自分より低いスコアでもヘラヘラしていたりと・・・

とてもではないが、まともな印象を持てるものではない。


 イサミ(・・・駄目だ。あれではディアース班の質が問われかねん・・・)
腕を組み、目を閉じて眉間にしわを寄せる・・・

 イサミ(お姉様もお姉様だ・・何故ああも甘くなられた・・・)イライラ

 イサミ(さらには・・・)
と、教室内で談笑するチカに目線を向ける・・


 チカ「・・でさ!、昨日コウ先輩が射的で当ててアタシにくれた
    特撮ヒロインの食玩あんじゃん!」
 ミヨ「あぁ〜・・あったわね」アンタがくれくれ五月蝿かった・・

 チカ「アレの中身がシークレットの巫女神命(みこがみみこと)だったんだよ!!」
 ミヨ「・・どうして私がそのキャラ知ってるていで話してるの?;」いつも・・

 チカ「だってミコミコだよ!、伝説の!!」メジャーじゃん!
 ミヨ「・・・(==;)」その世界だけでしょ?


 イサミ(・・・・・昨日?)
チカの会話に興味を示したのか・・席を立つ・・・



 イサミ「おい、二階堂チカ」
 チカ「ん?」

 イサミ「さっき美里先輩が昨日どうしたとか言っていたな・・」
 チカ「あーうん、桜祭行ってたんだよ」一緒に

 イサミ「桜祭・・・だと?」
 チカ「なになに?、一緒に行きたかった?♪」ニヒヒざまみろ


 イサミ(・・・自ら勝負を言い出しておいて、
     自分は祭で呆けていたというのか・・・・・あの人は!!!)


 チカ「な、なんだよぉ・・そんな睨まなくても・・;」
 ミヨ「今のはチカの言い方が悪い」


 イサミ(・・・・・見損ないましたよ・・・美里先輩・・・・・!!!)ギンッ




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by: へろ
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