彩花の騎士
ストーリー 24

午後の特訓もみっちりこなし・・・


夕方5時前。ロッカールーム。

制服に着替え終えたコウと、それぞれ手荷物を持つスミとタエコ。


 コウ「――・・2人ともホントありがとう!!(><)」
 タエコ「いいわよ、そんな改まらなくてもw」
 スミ「うん。私達も訓練メニューのおさらいできたし・・
    後輩のスズちゃんに教える要点も纏める事できたから(^^)」

 タエコ「やっぱスミは抜け目無いわねw。
     ・・で?、格納庫寄ってくの?」
 コウ「うん!・・あ、2人は先帰ってくれていいからね」

スミとタエコが顔を見合わせる・・
 スミ「どうする?」
 タエコ「う〜ん・・・・・アタシは明日の用意もあるし、先帰るわ」
 スミ「それじゃあ私は・・
    今日の事、少し纏めておきたいから・・通信室寄ってくね」


 コウ「スミちゃん、タエチー、ありがとね!!」
 タエコ「明日も頑張るのじゃぞ、少女よ」ポンポン

 コウ「ハハw、うん!」
 タエコ「んじゃお疲れ(^^)」
 スミ&コウ「お疲れ様〜(^^)」


・・・ロッカールームで別れ、それぞれの方向に歩き出す3人。






『格納庫』に向うコウ・・・

ほのかに薄暗い外と違い、格納庫からは強い光が漏れ出している・・

 シイナの声「――・・ストーーーップ!!、はいオッケェー!」

ガタコンッ!

何かの大型機械を操作しているであろう金属音が聞こえる・・


入口からそ〜っと中の様子を覗うコウ・・


格納庫内では、シイナが電子パッド片手に
クレーンを操作するアカネに指示を出している。

シノブはブツブツ言いながら、手持ちのプリントの束に何かを書き込み・・

モトコとキリア先生は、凄いタイピングスピードでパソコンを操作している・・・。


 コウ(・・・うわ〜・・整備班の人達凄いな〜・・・・・)

ここは本当に女子高なのか・・・?
素人目には、若干引くぐらいの別世界を見ているようだ・・

 コウ(コレ、私なんかが気軽に入れないよ・・・;)




・・・しばらくその様子を見ていると・・・・・




シイナがコウに気付く・・

 シイナ「・・コウ!、もうそんな時間?」

 コウ「あ、はい!!」
入口から声を張る

 シイナ「キリア先生!、もぉ5時ですって!!」
作業音が大きく、格納庫内も広いため、誰もが声を張る

 キリア「・・ん?、おぉもうそんなに経ってたのか・・」
モニターの端に表示されている時計を見る・・


キリア先生は立ち上がり、格納庫内を一望した後
声が通るように、口の横に手を添え・・

 キリア「じゃあ今やってる作業を区切りいいところで止めて
     続きは明日だ!!」

 整備班一同「はい」

 キリア「淡路、固定だけはしっかりな!」
 アカネ「おぃーっス!」

 キリア「秋津、淡路の後の点検よろしくな」
 シイナ「はい」

 キリア「戸締まりはアタシがやっておくから
     切り上げた者からそのまま帰ってよし!」
そう言い終わると、
再びイスに座り、パソコンを打ち始める・・・

 モトコ「・・先生、コーヒーでも入れましょうか?」
キリア先生の隣でパソコンを操作していたモトコが手を止め、問う

 キリア「頼む」
 モトコ「はい(^^)」
それは既に長い付き合いのやり取りに見える・・・。





 コウ「・・・・・」

入口で立ったまま待つコウの元に、シイナが走って来る・・

 シイナ「・・ごめんコウ!!」
 コウ「?」
 シイナ「見ての通りだわ;、今日はちょっと厳しいかも・・」
 コウ「あ、いえ・・全然気にしないで下さい(^^;)」

 シイナ「ほんとゴメンね!!、アタシから言い出したのに・・」(>人<)
 コウ「そ、そんな謝らないで下さい;。
    それに明日も私、学校来ますし・・・」
 シイナ「ホント!?、じゃあ明日!、絶対!」
 コウ「はい(^^)」

 コウ「でわ私は先に・・・御疲れ様です」ペコリ
 シイナ「うん!、お疲れ!」

再びシイナは駆け足で持ち場に戻っていく・・・。



コウは帰りざま、チラッとシノブの方を見る・・


目が合う・・・。


 シノブ「・・・」
眉間にシワが寄ってるようにも見えるが・・
その手元は“さようなら”“またね”を意味するパーの手だ。

 コウ「・・・(^^)」
コウも小さく手を振り返し、格納庫を後にした・・・。





・・・





 コウ(・・・スミちゃんまだ残ってるかな・・・?)

帰る前に『通信室』に立ち寄ろうかと考えていると、
丁度のタイミングでスミが2階から下りて来た・・・。

 スミ「・・・あれ?、コウ?」
 コウ「一緒に帰ろ(^^)」

 スミ「ディアースは?」
 コウ「明日だって」
 スミ「そう・・じゃあ帰ろっか(^^)」



・・・



帰宅道中・・

スミに合わせ、自転車を下りて押して歩くコウ。

 コウ「・・なんか2人だけって久々だねw」
 スミ「ね(^^)」

 コウ「ホントに明日もお願いしていいの?」
 スミ「うん。あ・・でも・・」
 コウ「?」
 スミ「明日は合間に他の事やってもいい?」私事の・・
 コウ「是非是非w。気にしないでスミちゃんの事やってね(^^)」

 スミ「ありがとう(^^)」
 コウ「やっぱりスミちゃん手際が良いな〜」
 スミ「そう?」
 コウ「私、同時進行とか苦手だから;」

 スミ「でもコウの1つの事に没頭できる性格は
    今日みたいな特訓には凄く向いてると思うけど・・」
 コウ「ホント?。スミちゃんのお墨付きだww」

 スミ「ダジャレ?w。コウ、おじさんくさいww」クスクス
 コウ「ニハハ」(^▽^;)

タエコがいない事で、話の盛り上がりはあまりないが
ゆっくりやわらかい気持ちの会話は続いた・・・・・。




・・・




 コウ「――・・じゃあまた明日!」
 スミ「明日〜(^^)」

お互いの家への分岐点で別れる・・・。


コウは自転車に乗り、残りの帰路をサ〜っと進む・・

 コウ「・・・ん〜♪」スンスン

通り過ぎる家々からは、晩ご飯の準備をしている良い匂いがする。

 コウ(お腹減った〜・・・(=△=;))




・・・



帰宅し、手洗いと着替えを済ませ
朝に干した洗濯物を取り入れに、ベランダに出ると・・・

帰宅時に嗅いだ、美味しそうな匂いがこのアパートからもするではないか・・・。

 コウ「誰の部屋だろ・・・?」


取り入れた洗濯物をドサッと無雑作に置き、
ベッドに腰をかけてケータイを手に取る・・・

カチカチカチ・・

メールを打つコウ・・

 文【今日の晩ご飯なんですか?(ご飯の絵文字)】


メールを送信した後、テレビを点けて1人の静けさを紛らわす。



・・・3分後

ピロリロリン♪。返信だ。

 返信文【ハヤシライスです。】


 コウ(そっかこの匂いハヤシライスだ!w
    でもカレーじゃない辺りすごい“フミコちゃん”っぽい・・(^^))


ピロリロリン♪。続けざまにメールが送られてくる・・

 文【先輩食べますか?】

 コウ「やった!v」

コウは食べる旨を返信し、20分後という時間の約束を交わす。


急ぎ、ラフな部屋着の上にパーカーを羽織り・・
財布と自転車の鍵を手にバタバタと部屋を後にした・・・。




・・・




 コウ(うりゃりゃーーー!!=3)

自転車をぶっ飛ばすコウ・・脳内でのスピードはトップギアだ。




・・・




 コンビニ店員「ありがとぉござっした〜」

コンビニスイーツのパフェを2つ購入し、店から出てくるコウ。

 コウ「ふ〜・・」
   (高い方の買っちゃったけど・・いいよね♪♪)




・・・・・




フミコの部屋。

 コウ「お邪魔しま〜す♪」
 フミコ「どうぞ・・」

 コウ「これ、デザート。
    後で食べようね(^^)」

 フミコ「ありがとうございます」ペコリ
コウからコンビニ袋を受け取ると、中身のパフェを出して冷蔵庫にしまう・・。

 フミコ(・・おいしそう・・・)



テーブルには綺麗に盛り付けられたハヤシライスが2皿・・・

 コウ「フミコちゃん凄い!!」
 フミコ「いえ、休日なのでちょっとやってみようかと思っただけで・・」

 フミコ「少なめに盛ってあるので、足りなかったらおかわりして下さいね」
 コウ「うん、ありがとう(^^)」


・・・


食事の内容や、今日の特訓の事、明日の桜祭の事・・
会話は尽きる事なく弾んだ・・・。


・・・



 コウ「ふ〜、美味しかった〜(^^)」

 フミコ「何よりです」
小さく微笑むフミコ

そのまま2人分の食器を重ね、流し台へ向う・・

 コウ「あ!、洗いもの私しよっか!?」
 フミコ「いえ、後でしますので・・先輩はくつろいでて下さい」

 コウ(はぁ〜〜〜良く出来た娘だ〜〜〜v)(TmT)ジ〜〜〜ン・・


フミコは空になったコップに、浄水機の水を入れ直して戻ってくる

 コウ「ありがとう(^^)」
 フミコ「デザートはもう少ししてからでいいですか?」
 コウ「うん!」

食後休憩にテレビを点けると、バラエティー番組が流れている・・・。

しかし2人はあまりそれを見ず、部屋の音に賑わいを足した程度の感覚で
会話を続ける・・・

 コウ「桜祭、やっぱり行こうかな〜・・」(=△=)気持ち揺らぐ・・
 フミコ「・・私は先輩の都合に合わせます・・・」

 コウ「・・う〜ん・・・。夜からなら時間的に大丈夫だし・・」


 コウ(でもここで行ったら何か負けたみたいだし・・)自分に・・
 コウ(でもな〜・・・年に1度のイベント・・勿体無い)
 コウ(ちょこっとだけなら罰は当たらない・・よね〜・・・)ぐぬぬ・・

コウは悩みながら「う〜んう〜ん」唸っている・・
その様子を黙って見ているフミコ・・・

 フミコ(・・・どうして先輩はそこまで桐原先輩との勝負に拘るんだろう・・?)


 コウ「う〜ん・・う〜ん・・・」


 フミコ(・・・先輩は見ていて飽きないな・・・。)


 コウ「う〜ん・・う・・・ん?」
フミコの目線に気付く

 フミコ「あの・・・そんなに悩む事なのでしょうか?」

 コウ「だってホラ、月曜日の勝負前に遊んでていいのかな・・って;」
 フミコ「その言い方だと、テスト前に・・という感じですね」クスッ

 コウ「そう!まさにそれ!!、桐原さんは私をテストしてるんだよ!!」

 フミコ「あ・・・・・。
     それなら何となく・・解ります」

 フミコ(そうか・・・訓練の時も桐原先輩の目は、そういう感じだったような・・。
     あの感じは私も少し苦手だったな〜・・・)


 コウ「どうしよう!!」(@△@川)ガシッ
 フミコ「ど、どうしようと言われましても・・・;」


そんな時だ・・テレビから一際大きな笑い声が聞こえてくる・・・
コウとフミコは思わずそれに目線を奪われる。

 TVの声「おいおいおい!卑怯だぞ!」
 TVの声「はいはいじゃ〜同じ条件にして、再スタート!、ピー!」
 TVの声「痛って!?」
 TVの声「ワハハハハw」

テレビのバラエティー番組では、
芸人とアイドル達が、球技をアレンジしたゲームで大騒ぎしていた・・・。

 コウ「・・・これだよ・・・」
 フミコ「?」

 コウ「これだよフミコちゃん!」
 フミコ「??」

 コウ「いっそ桐原さんも桜祭に誘っちゃうんだよ!!」
 フミコ「え・・・?」どういう?

 コウ「ならそこだけ分、チャラになるよね!」
 フミコ「・・・・・・・いやならないと思います。」
    (やっぱり先輩は天然だ・・・)

 コウ「ならないか・・・orz」だよね・・


 フミコ「普通に行けばいいと思いますよ・・。
     夕方までしっかり訓練されるんですから・・堂々と」
 コウ「何か後ろめたいの・・・(TムT)」

 フミコ「・・・ではこうしましょう」
 コウ「?」

 フミコ「私が誘います。何か言われても私のせいにして下さい」
    (!?、私今凄い事言ってる・・・;)

フミコという少女は、人並み以上に面倒事・衝突・問題を嫌う。
自ら火の粉を被るような言動は極力避け、
穏やかに、ドライに・・そして輪の中心から常に一歩引いて物事に取り組む。

そんな彼女が今口に出した言葉は、本来なら有り得ないと言っていいものだ・・・。

 フミコ(でも・・・・・)

 コウ「ダメだよそんなの!!」
 フミコ「!?。・・どうしてです?」
少しムッとした表情のフミコ・・

 コウ「だって全部私の我侭なんだから、それでフミコちゃんg・・」

コウが言葉を続けようとした時だ・・


 フミコ「私は先輩とまたお花見がしたいんです!」


普段のフミコからは想像も出来ない、感情的な言葉が遮った・・





・・・・・一瞬の沈黙・・





 フミコ「!?・・す、すみません・・・・・」
ハッとし、顔を真っ赤にして下を向く・・・



 コウ(・・うぁ・・・あぁ・・・・・)


もじもじするフミコ・・


 コウ(な、なんだコレ・・・・・・・・)





 コウ(フ、フミコちゃん・・・・・・・か、可愛いすぎるっっっ!!!!!)
     (@□@)ズキューン!ズキューン!ズキューン!・・・








 コウ「・・・・・・・よ、よしっ!!」
 フミコ「・・?」

 コウ「い、行くだ!、オラ行くだよ!!」拳プルプル

 フミコ(こ、言葉遣いが変だ・・・;)


 コウ(可愛い後輩にここまで言わせて、自分の面子とかどうでもいいよ!!)
   「フミコちゃん!、一緒に行こう!!b」ニッ



 フミコ「・・あの・・えっと・・・・・」
恥ずかしさが改めて込み上げてくるフミコ・・


 フミコ「・・で、デザート・・食べましょう・・・」あせあせ
コウの言葉をスルーして、立ち上がって冷蔵庫に向う・・



 コウ(えぇぇぇぇぇーーー!?)(@□@川)そりゃないよセニョリータ!?




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by: へろ
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