彩花の騎士
ストーリー 22
翌朝。
学校、正門側『駐輪場』
1年生「おはようございます」
コウ「おはよー(^^)」
早く登校して来た1年生から挨拶され、笑顔で返すコウ。
学園生活にも少しずつ馴れ、どこか余裕が出て来た印象だ。
自転車のカゴから鞄を出し、体育館の前を通って『騎士の館』に向う・・・
体育館からは・・朝練をしている部活の掛け声と、ボールが弾く音、
キュキュッというシューズと床が擦れる、独特な音が聞こえてくる・・・。
続いて前を通る、校舎裏の『Bグラウンド』でのテニス部の朝練・・
裏庭では、花に水遣りをしている園芸部・・・。
コウ「♪〜・・」
騎士の館に近い、裏門側の『駐輪場』に自転車を停めないのは
この早朝の学校の空気が、ほのかに残る眠気を醒まし、
イイ感じの高揚感を与えてくれるからだ・・・。
・・・
騎士の館の敷地に入ると・・・
バタムッ!
駐車場に停めた直後であろう・・
真っ赤なスポーツカーから、キリア先生が出てくる・・・
コウ「あ、おはようございます!」
キリア「おぅ、おはよう」
続けて、助手席から
ちょこんと・・モトコが下りてくる・・・。
モトコ「おはようございます(^^)」
コウ「おはよ〜・・・って、えっ!?」
キリア「ん?、どうした?」
コウ「あ、いえ・・一緒に学校来てるんですか?」
キリア「あぁ・・家も近いしな」
コウ「はぁ・・」
(近いからって、先生と生徒が一緒に???)
キリア「ホラ、ミーティングはじまるぞ
2人共さっさと行け」
コウ「あ、はい!」
モトコ「行きましょう、美里先輩」
コウ「う、うん」
(モトコちゃんって、何か謎が多い娘だな〜・・・)
・・・・・
朝のミーティング。
教師不在など関係なく、団長のユミがしっかり取り仕切って
スムーズに進行される・・・。
・・・一通りの確認等々を終え・・
ユミ「―――・・・じゃあ他に、何かある人・・・」
壇上のユミが、席を見渡すと・・
車両班班長のケイが挙手
ケイ「ちょっといい?」
ユミ「えぇ」
・・・ユミは横に引き、ケイが壇上に上がる。
ケイ「明後日の日曜、“北門公園”で桜祭があるんだけど・・」
コウ(そういえば北門の桜祭ってこの時期だった!、そうだった!)
彩花街の北の山には、“北門公園”という大きな公園がある。
少年野球の練習場としてよく使われるグラウンドをはじめ、
ミニアスレチックや、大きな池など・・
園児や小学生の遠足の定番、家族連れのピクニック先など
“地元民だけ”にはメジャーな憩いの場だ。
山という事で気温が低いのか、それともそういう品種なのか・・
植えられた桜はどれも遅咲きで
街中の花見の時期を過ぎた4月半ばに満開となり、桜祭が催される。
ケイ「・・ちょっと人手が足りなくて、手伝いを探してるの。
あと2人ぐらい欲しいんだけど・・誰かいない?」
リサ「日曜はゲーセンで“姫U”の大会あるから無理だよね〜♪」
サチ「同意。」
ケイ「おバカっ!、車両班は全員参加決定済みだよっ!!」
リサ「そんにゃーっ!?!?!」Σ(T□T川)ガビーン
サチ「横暴。」
リサ「そうだ横暴だー!!」
ケイ「黙らっしゃいっ!!!」くわっ!!
リサ「ひぃぃ〜サチあそこに恐い人いる〜・・」
サチ「武蔵坊弁慶。」
アリサ「“ケイ”だけに?、ピッタリじゃない!w」
頬杖をついて、半笑いで茶化しを入れるアリサ
3年生を中心に、どっ・・と笑いが起きる。
ケイ「アンタも来る!、アリサ」
アリサ「や〜よ面倒くさい・・」
一同(断り方がストレート過ぎる・・・;)
スズナ「(だ、大丈夫なんですかぁ?、あんな断り方して・・)」
通信班が座る席。スズナは小声で隣のスミに問う・・
直系の先輩であるアリサの態度に、不安を覚えたのであろう・・・
スミ「(お2人は幼稚園からの幼馴染って言うから・・
たぶん大丈夫だと思うよ・・・・・たぶん・・(^^;))」
スズナ「(ほぇ〜・・・)」
コウ(・・・桜祭のお手伝いか〜・・ちょっと興味あるな〜・・・)(=▽=)ホゲ〜
そんなやり取りよりも、コウの感心は桜祭に向いている・・
コウ(・・ってダメダメ私!!、日曜は・・・・・)
チラッと狙撃班の席、カナコの方を見る・・
カナコ「・・・」
カナコは腕を組んで、椅子の背もたれにズシリと体重を預けている。
そして右手の人差指をトントンとしている・・・。
リズムをとっているのか、イライラしているのかは解らないが
気持ちここに在らずというのは明らかだ。
コウの視線は・・そんなカナコから、
その手前(隣)に座るカヲルへと移る・・
カヲル「♪〜」
カヲルは足を組み、鼻歌交じりで前髪をいじっている・・・。
コウ(・・・・・う、うわ〜・・・;、狙撃班の人、桜祭に全然興味なさそう・・;。
・・フミコちゃんはどうなんだろ?)
コウの座る位置からは、カヲルとカナコが壁となっていて
フミコがいまいち見えない・・・。
と・・
タエコ「・・・おケイ先輩!、それ何か出ますか?」
ケイ「ん?、そーだね〜・・屋台の売れ残りとか・・・
アタイの地区からは、おしるこ出すから・・それは食べてよし!」
タエコ「じゃあアタシ立候補します!!」(☆▽☆)/
一同(やっぱり・・食べ物に釣られるんだ・・・・・。)
ケイ「助かるよ(^^)」
アリサ「タエコも好きね〜」
タエコ「アリサ先輩はおケイ先輩の料理を侮り過ぎです」
アリサ「別に侮ってなんかいないわよ。味はね。
おケイのは高カロリーだから私には合わないってだけ」
頬杖をついたまま、目を細めて壇上のケイを見るアリサ・・
タエコ「どうせアタシは花より団子ですよ。
・・で、スミは行かないの?」
スミ「う〜ん・・その前にコウにちょっと聞いておくことあるから・・・」
タエコ「?」
通信班とディアース班の席は離れているため
スミはコウに視線を移すだけに留まる・・・
スミ(・・って、コウは何をモゾモゾやってるのよ;)落ち着きないな〜・・
ケイ「・・じゃ〜あと1人は・・・ま、後でもいっか。
興味のある人、日曜に特に予定がない人は
放課後にでもまたアタイに声かけてちょうだいな」
・・・朝のミーティング終了。
ゾロゾロと作戦室を後にする騎士様達・・
そんな中・・
リサ「あぁ〜・・姫Uの大会がぁ〜〜〜・・・」(T□T)
席を立たず、机にペタリと頬を付け嘆くリサ・・
アカネ「カッカッカw、御愁傷さん♪」
リサの元にやって来て、笑いながら彼女の肩をポンポンとたたくアカネ
サチ「イレギュラー発生。」
アカネ:ビクッ!?
リサの隣に同じく座ったままのサチが口を開く・・
アカネ「アンタ、マネキンが急に喋るみたいで焦るわ;」
サチ「人間。」
アカネ「知っとるわ!、例えや例え!」(◎□◎川)ブォーン!
アカネ「・・で?、その大会とやらはえぇもん貰えんのかいな?」
リサ「参加するだけでレアコスのコード貰える、おいしいイベントにゃ〜・・
春巻ちゃんの赤チャイナだよ・・赤チャイナぁ〜〜〜」(TдT)
アカネ「確かに美味しそうな名前やな、春巻ちゃんw」
サチ「“おいしい”違い。」
アカネ「知っとるわ!、ワザとやワザと!」(◎□◎川)ブォーン!
(この娘調子狂うわ〜・・・;)
リサ「アカネちん代わりに出てよ・・」ぐすっ・・
アカネ「そら無理な話やな〜w」
リサ「薄情者ー!」(>□<)
アカネ「ウチは日曜も整備のお仕事が入っとるんですわ。偉いやろ?」
リサ「偉くない!」(>□<)自分で言うな
???「・・・その大会・・アタシが代わりに出ましょうか!、先輩!!」
リサ「・・んにゃ?」
声の方に目線だけ向ける・・
そこには・・・
おでこをキュピーン☆と輝かせ、目力が凄いチカの姿が・・・
リサ「ちみは確か・・・」
チカ「そうです!、ディアース班“期待の新星”二階堂チカっス!!b」にっ
アカネ「初耳や」
チカ「“姫真舞闘祭U”!、アタシも大好きっス!!」ぐっ
リサ「ホントっ!?」
ガバッと机から顔を上げる・・
チカ「はいっス!」キラーン☆
アカネ「一言一言どや顔挟まんでえぇから・・・;」
チカ「お話を聞く限り、参加賞がお目当てとの事・・」フッフッフッ・・
リサ「そだよ!そだよ!!、春巻ちゃんの赤チャイナ!!」
チカ「その程度のDランク任務ならば、このアタシが・・」
ミヨ「・・アンタ格闘ゲーム下手だもんね」
部屋を後にしようとしていたミヨが、すれ違いざまに一言・・
チカ「ちょちょちょっとミヨ!!」(@□○;)ズコー
リサ「いーよいーよ!下手でも何でも!!
出てくれるんだよね!!」
チカの手を、両手で取るリサ
チカ「我が拳に誓って!」ニヤリ☆
アカネ「は?」
リサはその何かしらのネタ台詞であろう言葉に反応し、
心臓の位置に右手の拳を当てる・・
リサ「我が拳に誓って!!」
サチ「我が拳に誓って。」
サチも何気に続く・・
アカネ「え!、何よ何よそれ!?、流行ってんの!?」
チカ「我が拳に誓って!!!」
アカネ「ちょおウチも混ぜてーな!!」
リサ「真の姫王伝説が今、はじまるっ!!!」(☆▽☆)○ヒャッホーイ
拳を突上げ、勢いよく席を立つリサ・・
チカ「イッエーイ!!」(>▽<)○=3
リサ&チカ「ィエィ、ィエィ、ィエーイ!!!♪」
妙なテンションで、そのまま両手でハイタッチを3回するリサとチカ
アカネ「ウチも混ぜてーなっ!!!、拳に誓わせてぇーなっ!!!」
タエコ「――・・相変らずリサとアカネの一帯は騒がしいわね・・;。
何の伝説がはじまるのよ・・・。
“拳に誓わせてぇーな”ってどういう意味よ?;」
スミ「・・(^^;)」
コウ(・・ち、チカちゃん;)
一方、コウの元に集まっているタエコとスミ。
スミ「・・で、日曜日だけど・・」
コウ「うん、私はシミュレーター訓練がんばる!
土日は特訓って決めてたから!!=3」
タエコ「ぶっちゃけもぉいいんじゃない?、カナコとの件は。
何だったらアタシが間に入って・・」
コウ「いい!」
タエコ「桜祭楽しいよ〜♪、おしるこ美味しいよ〜♪」うりうり
コウ「何も聞こえません!」プイッ
スミ「タエチーよしなさいよ・・せっかくやる気なんだから」
コウ「訓練してて解ったもん」
タエコ「何がよ?」
コウ「今の私じゃ全然ダメダメだって・・・
だから土日は絶対特訓っ!!」ムフー!=3
タエコ(あ、鼻息モード入った・・・)
「・・・でもアンタ、言っちゃなんだけど・・
そんな付け焼き刃でカナコと勝負するとか・・・
今更だけどどうかと思うよ〜?」
コウ「わ、分かってるよ・・・」
(でもたぶん、勝負よりもっと大事な事があるんだ・・
桐原さんが言いたかったのは、
私は1年間、他の2年生達より遅れてるから努力しろってこと・・・)
コウ(ユミ先輩とシーナ先輩が言ってた“努力と信頼は常に共にある”。
今はまだ遊んでいいぐらい私は出来てないし、認められてない!)
スミ「・・じゃあ土日は私、コウの特訓に付き合うね」
コウ「え?」
タエコ「マジですかっ!?、桜祭は!?、おしるこは!?」
コウ&スミ(おしるこ押すな〜・・・・・;)
スミ「悪いけど(^^;)。それにタエチーも遊びに行くんじゃないのよ
ちゃんとおケイ先輩のお手伝いしなきゃダメだからね!」
タエコ「わ、分かってるわよ・・・;。
・・しょうがない!、じゃあ土曜はアタシも特訓に付き合うか!!」
コウ「ちょっ、待って!?
別に付き合ってくれなくても大丈夫だよ、2人とも・・」
スミ「1人より2人(^^)」
タエコ「2人より3人!、使えるモノは使っとけ!ww」
コウ「す、スミちゃん・・タエチー・・・・・」(潤△潤)じ〜〜〜ん
タエコ「アハハ!、なによその顔w」
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