彩花の騎士
ストーリー 18

翌朝。

 「♪ピロロロロロロロピロロロピロロロピロロロピロロロピーピピー♪」

部屋にけたたましく鳴り響く、ノリノリの目覚し時計のアラーム音・・・


 コウ「―――・・ん〜〜〜・・・」
いつものように、寝ぼけ混じりで頭上に手を伸ばす・・・


と・・

 コウ「っ!?!?!?!?!?」
体中に痛みが走る!


 コウ(ほぎゃー!?、な、なにコレぇぇぇっ!?!?)(@@;)



筋肉痛である。



 コウ「うぐぐぐぐ・・・」

痛みを堪えながら、どうにかアラームを止めるも・・
その体勢からしばらく身動きできない。

 コウ(ど、どうしよう・・・
    こんなので学校行けるの・・・私!?;)

 コウ(というか・・これで今日またランニングとかあったら・・・
    確実に・・・・・・ひぃぃ!?、THE ENDだよ!!)ガーン;

目覚し時計に手をかけたまま、ピクリともせずに
そんな考えを頭の中でぐるぐる巡らせていると・・・



―――・・ピンポーン



 コウ(だ、誰だろ?・・・こんな朝早くから・・・)


・・・コンコン・・

軽いノックの後、
聞き覚えのある声が、ドア越しから聞こえてくる・・

 シイナ「・・・コウ、起きてる?」

 コウ(シーナ先輩?)
   「・・は、はーい!」
とりあえず声だけ出して応える


 コウ(ふぐぐぐぐぐ・・・!!)(@@;)
腕に力を込め、上半身を起こし
ゆっくりとベッドの下に足を下ろす・・・

 コウ(はうっ!?;)
   「しょ、少々お待ちをー!」

足にビンビンくる痛みに耐えながら、
テーブルや壁を伝って、ヨロヨロと玄関に向う・・・




・・・・・ガチャ


 コウ「お、お待たせしました・・」

 シイナ「・・・・・。
     ご、ゴメン・・まさかそこまでとは思ってなかったわ;」

 コウ「・・え?」
後頭部が爆発した寝癖、片方だけ捲くれ上がった寝間着の袖・・
壁にもたれ掛かってようやく立っている状態のコウ。

 シイナ「基礎体力初日の翌日って
     筋肉痛で大変な事になってる娘多いからさ・・
     様子見に来たんだけど・・・;」

 コウ「ハ、ハハ・・(=▽=;)」
御覧の有り様です・・と言わんばかりのコウの苦笑い

 シイナ「ま、まぁしばらく運動続ければ馴れて治るけど・・
     ミーティングの後にでも医務室でエアシップかけなよ」

【エアシップ:エアーサロ●パスの即効性強力版みたいなの。スプレー式】

 コウ「は、はぁ・・」
 シイナ「使うと使わないとで全然違うから・・
     って、学校行けるわよね?」

 コウ「だ、大丈夫です!。
    ・・・あの、フミコちゃんは?」
 シイナ「あぁ〜あの子は全然ピンピンしてたわよw
     大人しそうに見えて・・流石、前線組に選抜されたって感じかしら」

 コウ「うぅ・・(T△T)」
   (筋肉痛なのが何か恥ずかしい・・)

ズルズルとへたり込むコウ・・・

 シイナ「ちょちょっと!?、ホントに大丈夫???;」






―――――・・・






『騎士の館 2F・作戦室』。

朝のミーティングを終え、ゾロゾロと部屋を後にする騎士様達。

一方で、ノロノロと・・いつまでも作戦室に残る数名が・・・

 コウ「痛つつつつ・・」

 スズナ「うぅ〜・・足が痛いですぅ・・」(>△<)
 モトコ「ですねー」(>△<)


 タエコ「いや〜・・年をとるとかないませんな・・・」
 リサ「ほんにほんに、若いっていいですな〜」(=ω=)
動くどころか、席から立とうともしないタエコとリサ

 アカネ「どこの老人ホームや。先行くで」

 リサ「アカネちん、おぶってちょ☆」
 アカネ「アホぬかせ、気合入れ気合!。
     あのシノブせんせを見てみぃ!!」ニヤリ
と、退室しようとしていた“明らかに動きが鈍い”シノブに駆け寄る・・

 シノブ「・・・へ?」
 アカネ「うりぃ!」
アカネは唐突にシノブの足を揉む

 シノブ「ひぃぃぃぃぃっ!?」
 アカネ「ぐっしっしw」

 シノブ「ちょちょちょちょっと!、アカネさんっっっ!!(怒)」

大笑いしながら走り去って行くアカネ・・・



 タエコ「今のアカネの顔見た?」
 リサ「わっるい顔してたねぇ〜w」
 タエコ「悪魔の舌出てたわ、ギザギザのやつ」

 シノブ「お、覚えてなさい・・・!!」ヨロヨロ




・・・




 スミ「―――・・みんな、エアシップ取って来たよ」

ほどなくして、スミが1Fの『医務室』から
エアシップの缶を3本持って作戦室に戻って来た。

 タエコ「おぉー!」
 リサ「回復アイテムはよ!」
 コウ「スミちゃん!」

 スミ「待って待って。・・アリサ先輩、窓開けて下さい」
 アリサ「まったく・・先輩を敬いなさい」
 スミ「一番近いんですから、換気換気」

 アリサ「遠慮のない子ね・・」
そう言いながらも、窓を開けていく・・

 スズナ「あ!、手伝いますぅ!」
通信班、直系の先輩達が動いているのに・・という意識で
勢いよく立ち上がるスズナだが・・・

 スズナ「あうぅぅぅっ!?」

 アリサ「いいわよ、座ってなさい」
 スズナ「しゅみませぇ〜ん・・・」(=ω=川)



・・・



シャカシャカシャカ・・・プシーーーーー!!
シャカシャカシャカ・・・プシーーーーー!!
シャカシャカシャカ・・・プシーーーーー!!

 「うぅ・・・」「くぅー!」「きくぅぅぅー!!」

女子のうめき声と、エアシップの音と臭いが
作戦室内に充満する。




 アリサ「あっはぁぁぁぁぁ〜〜〜ん・・・vvv」




 タエコ「無駄に色っぽい声出さないで下さい;」
 アリサ「だってぇ〜ん」

 タエコ「足ピーン上げてエアシップかける人、はじめて見ましたよ・・・」

 リサ「リアルサキュバス!テンプテーション!!」(☆□☆)b
 タエコ「何て?;」




 コウ(あぁ〜・・でもエアシップって凄い効くんだな〜)(=▽=)プシー




 コウ「・・・ん?」
盛り上がっている2、3年生に気を取られていたコウだったが
ふと、作戦室の片隅を見ると・・・

1人の1年生が、こちらに興味がありそうで無さそうな・・
そんな感じでポツリと座っていた。

『歩兵(支援班)』の『一条 イチル』だ。

基本、無口であり
垂らした前髪で常に右目が隠れているため、表情も読み取り難い・・
どこかミステリアスな雰囲気が漂う1年生。

接点もほとんどないため、コウはまだ1度も彼女と会話した事がない・・・


 コウ「・・・使う?」

この場に残っているという事は、
少なからず筋肉痛仲間では?という考えから、
エアシップ切っ掛けで話しかけてみる。


 イチル「・・・・・」
一瞬、妙な間はあったものの・・コクリと頷く。


そんな様子を、他の生徒達も見ており・・
何となく絡むタイミングを逃していた
一条イチルという生徒の回りに集まってくる・・・。

 アリサ「貴方も筋肉痛だったの?」

イチルはコクリと頷き、言葉を出す・・
 イチル「・・・大いなるペイン」

 リサ「ニャハハハハ!、なにそれ!!w」
 スミ「こ、個性的な言い回しね」(^^;)

 リサ「ウチのサチといい・・1年でそーゆーの流行ってんの!?」
 タエコ「でもちょっとナギサ先輩と空気似てるよね、支援班同士」

 イチル「運命の黒百合・・・輪廻の記憶、それは必然」

 タエコ(こ、これは・・・つ、ツッコんでいいのかぁー!?!?;)

 アリサ「ナギサの毒牙にかかっちゃダメよぉ〜」
 イチル「・・・至高の堕天」

 スミ(か、会話成立してるのかな・・・???;)


 リサ「よし!、これで今日からキミもチーム筋肉痛、
    「KN2」のメンバーだ!!」ビシッ!

 アリサ「それラブ!☆、アイドルユニットみたいでいいじゃない♪」
目に星が灯るアリサ

 タエコ「どこがですかっ!?」
 イチル「・・・No future」



 コウ「騎士様好きからすれば、
    アリサ先輩って既に学園のアイドルなんだけどな〜・・・。
    わざわざユニット組まなくても、ソロで行けるレベルだし」ブツブツ
 スミ「そういう事言ってるんじゃないと思うよ・・・」(^^;)ソロって・・

 タエコ(ボケが渋滞起こしてるよっ!!)(@□@川)ガッデム!








―――――・・・・・








 コウ「―――・・・銃口の下からは常にレーザーポインターが出ており・・
    この赤い光りをムゥリアンに当てると、ロックオンモードになる」

 チカ「ふむふむなるほど」
 イサミ「解っているのか?」
 チカ「うるさいな〜」
 イサミ(イラッ)


昼休み、騎士の館2F『休憩室』。

コウ、チカ、イサミのディアース班の新人3人は、昼食を取りながら
1つの電子パッドを囲んで、そこに表示される装備マニュアルを読んでいる・・・


 コウ「UE兵器の多くには、ムゥリアンの識別機能と
    自動で命中の補正をする機能が備わっている。
    ロックオンモードは、これら機能を使ったものである」

 イサミ「実弾ではなくエネルギーを発射するUE兵器なので
     軌道にも融通がきくんですね」

 チカ「は?」
 イサミ「多少下手でも武器の方で手直しして、当ててくれるという事だ」

 チカ&コウ「なるほど!」
 イサミ「・・・」(ー_ー;)

 チカ「でもアタシ達ってロボット組じゃんか?」
 イサミ「ディアースの武器はこのUE兵器を大型化したものだ。
     それに敵の戦力があまり高くなければ、
     我々ディアース班も生身での戦いとなる」


コウは昼食のサンドイッチを一口噛り
空いた方の手で電子パッドをなぞって、マニュアルのページを進める・・


 コウ「じゃあ次ね。バイザー内の表示について・・・
    ・・あ!、これは昨日のシミュレーターのやつだね」
 イサミ「はい」

 コウ「実戦およびシミュレーターで使われているヘルメットのバイザーは
    透明モニターになっている。
    そこに表示されるものは主に・・ナビゲートアロー、レーダー、
    ロックオンマーカー、UEチャージゲージの4つである」

 イサミ「昨日かぶった時も思いましたが、これはとても便利ですね」
 コウ「うん」
   (やっぱりこっち関係だとイサミちゃん、よく喋ってくれるな〜・・)


 チカ「お!ヘルメットの中に映ってた画面だ!、見せて見せて」
“ロックオンモードの話”の後、
弁当のご飯をかき込んでいたチカが、再び話に入って来る・・

 イサミ「おい、あまりくっ付くな」
 チカ「いーじゃんいーじゃん」
 イサミ「口の中に物を入れたまま話すな」

 コウ「チカちゃん、ほっぺにお弁当ついてるよ」(^^;)
 チカ「んにゃ?」

 イサミ「美里先輩、進めて下さい」
と、肘でチカをぐいぐい押しやるイサミ

 コウ「う、うん;・・・じゃあ・・
    @、ナビゲートアロー。
    上下左右に表示される4つの矢印で
    敵の位置や目的地などをナビゲートする。
    赤い矢印はムゥリアン、緑の矢印は目的地を表す」

 コウ「自分の見ている方向を中心とし、上矢印が前方、下矢印が後方、
    左矢印が左方向、右矢印が右方向・・」

 コウ「これら情報は、メット単体では半径200m(直径400m)までが限界だが、
    通信班からのサポートを受ける事で、半径2kmまでカバーが可能となる。
    そのさい、距離に応じて矢印の色が変化する」

 チカ「遠い時は黄色で〜」
 コウ「オレンジ、赤・・だね。目的地の方は緑が濃くなるんだね・・・」


 チカ「ペラリ・・」
チカが電子パッドのページを勝手にめくる・・

 チカ「A、レーダー」

 コウ(もぉ・・(^^;))
   「えっと・・左上に表示されている円が、レーダーである。
    この円は直径400mを縮小したものであり・・
    中央にある濃い青の点が自身を示す」
 イサミ「先程のメット単体の索敵範囲という事ですね」
 チカ「???」

 コウ「・・円内に表示されている青い点が味方、赤い点がムゥリアン・・・」

 チカ「この黄色いのと、水色の四角いのはなんスかね?」

 コウ「黄色は〜・・・未確認の動物、かっこ人も含む・・ってあるね」
 イサミ「逃げ遅れた救助者・・という可能性も高いですね」
 コウ「だったらどうしよう!?」
 イサミ「通信班から何かしらの連絡や指示があるのでは?」
 コウ「あ、あぁ・・・そっか・・・」ホッ

 イサミ「水色の大きいものは避難施設だな」
 チカ「なるへそ〜」

 ???「・・その水色の場所に敵を近づけさせないよう戦う・・
     これが防衛団の絶対条件ね」

突如話しに入って来た声の方を見ると、ドアにもたれ掛かったユミがいた。

 コウ「ユミ先輩!」

 ユミ「3人だけで勉強会だなんて・・
    声かけてくれればいいのに・・・」
 イサミ「いえ!、お姉様の手を煩わせるのは・・」
 コウ「そうです!」


 ユミ「お姉さん寂しいわ」(TmT)よよよ・・


 コウ「・・・・・」
 イサミ「・・・・・」
 チカ「・・・・・」


 ユミ(・・・あら?;、
    アリサやシーナっぽい事してみたけど・・・外しちゃった?;)


自分達の知っているユミのイメージと違ったため、
脳内処理が追い付かない3人・・

だが・・

 コウ(・・・・・きゃ、キャー!、お茶目なユミ先輩キター!!)(☆▽☆)

少し間を置いて、萌ポイントに電撃が走ったコウが思わず席を立つ・・



ドガシャンッ!!



勢い余ってローテーブルに足を打ち付ける・・

 コウ「ギャウっ!?」

連鎖的にテーブルの上の紙コップを倒し、ジュースがこぼれる・・・

 チカ「おわーっ!?」
 イサミ「何やってるんですか!?」

 コウ「ゴメンー!!」(>△<)いちちー

 ユミ「だ、大丈夫?;」



・・・



てんやわんやした後・・・。

 コウ「・・・機械、大丈夫ですか?」
 ユミ「大丈夫よ、防水だから。
    それよりコウの足は?」
 コウ「は、はい、大丈夫です!!。お騒がせしました・・・;」

 ユミ「ごめんなさいね(^^;)
    私が柄にもない事したから、驚かせちゃったかしら?」
 コウ「いえ!とんでもない!、とても萌えました!!」
 ユミ「もえ??」

 コウ「あいえ!、お茶目なユミ先輩も素敵だと思います!!」ムフー
 チカ「アタシもそう思います!、親近感わきわきっスよー!」(>▽<)

 ユミ「そ、そう?。ありがとう(^^;)」


そんなコウ達の会話に、イサミは少し不服そうな顔をしていた・・・

 イサミ(ぬるい・・・。昔のお姉様はもっと氷のように研ぎ澄まされた
     鋭さと厳しさがあったはずなのに・・・・・)



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by: へろ
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