彩花の騎士
ストーリー 16
『格納庫』前。
車両やディアースの搬入があるため、割と広いスペース。
そこに各班ごと、それぞれの班長を先頭に並ぶ騎士様達。
アユミ「―――・・よしっ!、全員揃ったな」
騎士様達を軽く見渡した後・・
アユミ先生は竹刀を地面にトンッと突き立て、
その上に両手の平を置き、貫禄ある仁王立ちで言葉を続ける・・・。
アユミ「今から“基礎体力”訓練を行なう。
防衛団として活動するうえで、体力は必要不可欠だ」
アユミ「特に前線組!。
いいか、魔法力は使えば使うほど疲労感となって体に現れる・・
当然ながらランクが高い者はその燃費が良い」
アユミ「だが驕るな!
ランクが高い者には、それ相応の配置と装備が任される」
アユミ「体力を付けると言う事は、単に運動能力を上げる事だけではない
魔法力による疲労感を“感じ難い体”を作るという事でもある」
コウ「?」
アユミ「例えるなら、燃料タンクの容量を増やす・・と言ったところか。
これはUE兵器を扱う上で、とても重要な事だ!」
アユミ「基礎体力は全ての要だっ!!」くわっ
コウ(・・・ゴクリ;)
リサ(鬼フェイスキター!)
アユミ「今日は全員参加の強制であり、今後も定期的にやっていくが・・
以降の自主錬でもその事を各自、肝に命じて励むように・・・」
アユミ「特に前線組!」
コウ(うぅ・・・今目が合った(==;))
アユミ「では準備体操から・・・」
ユミ「―――・・じゃあみんな
両手を広げて前後左右ぶつからない距離をとって」
ユミが騎士様達にそう促がしている間に・・
アユミ先生は自身の隣にあるパイプ椅子・・の上に置いていた
電子パッドを操作し、それに携帯スピーカーを差し込む・・
♪チャ〜ンチャ〜ンチャチャチャチャチャ・・♪
・・と、お馴染みのラジオ体操のBGMとナレーションが大音量で流れ始める・・
何人かの生徒は、先程までの固い空気との落差に
思わず笑いかけるも・・堪える。1人を除いて
アユミ「二階堂、何がそんなに楽しいんだ!」
チカ「!?、な、ななんでもありませーんっ!!;」
ミヨ(何やってるのよチカは・・・;)
アカネ(なんやあの1年・・)
リサ(あっし等と同じにおいがしますね〜)(=ω=)ムフフ
―――・・・
準備体操の後は
腕立て20回、腹筋20回、スクワット20回を3セット。
『歩兵(突撃班)』のような体力自慢が集まる班は
自主的に1カウントの間に3〜5回をこなすため
1セットの間に、腕立て等を100回する者もいるが・・・
現在2セット目、腹筋中・・・
タエコ「し、死ぬ・・・;」
それらはあくまで例外。実際はこうである。
アユミ「伊倉どうした!
月見、少し足を押さえてやれ」
ユエ「はい!」
アユミ「体力が有り余ってる者は補助、手伝ってやるようにな」
・・・
どうにか3セット終了。
コウ「ハァ・・ハァ・・・」
(しんどいっ!!)(@□@;)
息を上げながら回りを見渡すと・・・
通信班のタエコ、同1年のスズナ、整備班1年のモトコの3名は特に
目に見えて“ばたんきゅ〜”といった感じだ。
タエコに至っては、地面に大の字で倒れている・・・。
・・・・・そこに、格納庫からキリア先生が
白衣のポケットに両手を入れ、
相変らずの巨乳を揺らしながら、ツカツカと出て来る・・・。
キリア「アユミ・・じゃなかった、進藤先生!」
アユミ「む?」
キリア「ウチ(整備班)の1年、閃モトコ
借りたいんだけど!」
アユミ先生は何事かと、キリア先生の元に行き、その場を離れる・・
リサ「グッジョブ、キリア先生b
これでちょっち休める〜〜〜〜〜」
その場に腰を下ろし足を伸ばす・・
そんなリサの後ろには・・
黒いニット帽をかぶった、くせっ毛ショートカット髪の少女・・
直系の後輩にあたる『車両班』の1年、『米村 サチ』が
息も切らさず、表情ひとつ変えず、ぼ〜〜〜っと立っている・・・。
リサ「サチも座るヨロシ」
タエコ(何故片言!?・・・とかツッコむ気力もない・・・)(=o=;)ぐで〜
サチ「・・・」
無言のまま、その場に体育座りをするサチ
リサ「サチしんどくないの?」
サチ「平気。」
リサ「これが若さか・・・!!」
サチ「違う。」
リサ「オイラなんて
危うく体力ゲージ点滅で超必殺技でるとこだったにょ〜」
サチ「それは危険。」
リサ「ビシビシッ!、乱舞乱舞ー!」
サチ「ダメージ0。無意味。」
アカネ(リサの下に付いたん、えらいドライなやっちゃな〜・・・;。
・・の割に、リサ結構じゃれついとるで・・・(^^;)何者や?)
一方・・・
アユミ「――・・見ての通り今、基礎体力の最中です」
キリア「あの子は“非適合者”で元々頭脳分野専門として
アタシが入れたからいいんだよ」
アユミ「関係ありません」
キリア「あるんだよ」
アユミ「防衛団に入った以上・・
適合者でなくとも、後方組であろうとも、体力は必須です」
キリア「その暇があったら整備の一つでも覚えさせる。
何のための班分けだ、適材適所だろ?」
アユミ「むっ・・。
しかし全員参加の訓練は必要です」
キリア「前線組と後方組を一色単でやるのは非効率だ」
アユミ「効率云々だけではありません。
これには基礎体力強化以外の意味もあるんです」
キリア「ほぉ?、どんな言い訳だ?」
その言葉に、アユミ先生の眉がピクリと動く・・
アユミ「共有です。
訓練を共有する事で、防衛団全体の士気が上がるのです」
キリア「なら別に、体に負荷をかける事以外でもいいだろぅ?」
アユミ「浦沢先生は解ってらっしゃらない・・」
やれやれと言った表情で、首を軽く振るアユミ先生・・
今度はキリア先生の眉がピクリと動く・・
アユミ「先生は共に汗をかくという喜びを知らないようですね・・・フッ」
キリア「!?、なんだそのスポ根理論はぁぁぁ!!」(・皿・メ)
アユミ「スポ根万歳ですよぉぉぉ!!」(+・皿・)
急に声を荒げる2人・・・。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
2人の頭上に妙な暗雲が立ち込める・・・。
そんな様子を、
会話内容が聞こえるか聞こえないかの距離で見ている騎士様たち・・
アカネ「――・・お!、なんやなんや!喧嘩かぁ〜」わくわく
シノブ「よしなさいよ!」
コウ「キリア先生とアユミ先生って仲悪いの?」
スミ「普段は良いんだけど・・・・・どうしたんだろ??」
シイナ「キリア先生って基本、整備と研究一直線で
アユミ先生の方針とかには全然口出さないんだけどね・・・
なんであんなにキレてんだろ・・・;。はじめて見たわ」
リサ「ス“パ”コンってスーパーコンボの事?、超絶波動拳だすの?」
サチ「違う。スーパーコンピューター。」
カナコ「根本が間違ってるわよ、馬鹿」
リサ「バカ言われた〜(T△T)」
サチ「辛辣。撤回要求。」
カナコ「な、生意気な1年ね・・・」
トキエ「アハハ!。リサんとこ、おもしろいの入ったなw」
そんな騎士様達の興味本位な雑談が増え始めると・・
ユミが前に出てき、パンパンッと手を叩いて自分に注目を集める。
ユミ「――じゃあみんな、息も整ってきたし
“外周ランニング”いきましょうか!」
リサ「えー!、そりゃないッスよ社長!」
???「な〜にが社長よ、ホラ立った立った」
“祭”と書かれた真っ赤なバンダナを頭に巻いた、ガッチリした体格の3年生・・
リサの直系の先輩である、『車両班』班長の『海道 ケイ』が
ユミの言葉に続いて、回りの後輩達に立つよう促がす。
ケイ「サチを見習いな」
リサ「うぃ〜・・」(=□=;)
リサの手を掴んで、パワフルに引っ張り起こすケイ・・・。
ケイ「ホラ、タエコもいつまでも寝っ転がってないで・・
それじゃ成金の家の敷物よ」
タエコ「例えが微妙ぉっ!?」
アリサ「そうそう、タエコは虎って言うよりベイブちゃんよね〜(^^)」
タエコ「よね〜・・じゃないですよ!(@□@;)
オブラート包んでるようで豚って言ってますからね!それ!!」
アリサ「で“おケイ”は猪?w」
タエコ(聞いてねぇー!!)
ケイ「バカ言ってないで起こしなさい。アンタんとこの子でしょ、通信班」
そう言いつつも、
ケイはタエコの手を取り、体半分起こす・・
タエコ「・・先輩方・・・・・」
俯くタエコ・・
アリサ&ケイ「ん?」
タエコ「せめて“ぽちゃカワ系美少女”って言って下さいっ!!」
一同(なんて前向きな肯定ぇーっ!?)(@□@川)ガビーン
アリサ「それラブ!!☆」
その表現が気に入ったのか、目に星が灯るアリサ。
そしてケイが持つ反対側のタエコの手を取る・・
アリサ&ケイ「せ〜の!」
2人でタエコを引き起こし、立ち上がらせる。息がピッタリだ。
スズナ「わぁ〜凄いですぅ〜」パチパチ
スミ「凄い・・・のかなぁ・・・?(^^;)何か色々おかしな状況だけど・・」
タエコ「ごっつぁんです!!」
ケイ「おバカ」
辺りに“どっ”という笑いが起きる。
コウ(騎士様でもタエチーは相変らずだな〜・・・w)
ユミ(やれやれ、賑やかなんだから・・・(^^;))
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by:
へろ
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